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2018.10.15 COLUMN

2018年度(2019年卒)の採用戦線を振り返る

10月8日(月・祝)の「体育の日」を境に、朝晩が急に冷え込んでくるようになりましたね。私、さすがに布団と寝間着を一枚厚手のものにしました。採用担当者の皆さまにとっては、これから2020年卒採用に向けて忙しくなる時期だと思います。風邪をひきやすい時期ですので、体調管理にはお互い気をつけていきましょう。

さて、2019年卒採用を既に終え、次の2020年卒採用に向けて舵を切っている企業も多いことと思います。巷間言われておりますとおり、2019年卒採用も「売り手市場」で、(優秀な)人材の確保に難儀したという採用担当者の方も多いのではないでしょうか。そこで、今回のコラムは、株式会社マイナビが発表した「2018年度新卒採用就職戦線総括」などをもとに、2019年卒採用について振り返ります。

続く「売り手市場」

「団塊の世代」の退職、少子高齢化、アベノミクスによる景気回復など、労働力人口不足が続いています。厚生労働省が発表した、2018年8月の有効求人倍率は、1.63倍。つまり、仕事を探している人のひとりあたりに対して1.63人分の求人があり、選びさえしなければ誰でも職にありつけるということになります。就職氷河期を経験している私からすれば、隔世の感すらありますが、労働力人口の不足が続くのに伴い、「売り手市場」が今後も続いていくことでしょう。

採用対象の拡大

労働力人口の不足を反映しているのでしょうか、採用対象を広げている企業も多いようです。先のマイナビの調査によると、短大卒見込みまでに対象を広げた企業は、62.1%。専門学校卒見込みだと65.9%、高専卒見込みだと56.9%に上りました。

また、データには反映されていませんが、優秀な外国人を採用する企業も増えているようです。2018年10月10日付の「ダイヤモンド・オンライン」によると、フリーマーケットアプリの大手企業であるメルカリには、2018年10月1日付で50人のエンジニアが入社。その50人中44人が外国籍だそうです。44人の内訳をみると、32人がインド人で、その大半がインド工科大学の卒業生となっています。

日本政府が外国人労働者の受け入れを積極的に進めていることから、今後は優秀かつハングリー精神旺盛な外国人の獲得競争も、拡大していくと思われます。

インターンシップの実施は、必須条件に

先のマイナビの調査によると、本格的な採用活動開始前の段階(2月)で、インターンシップに参加した学生の割合は、78.7%でした。2018年卒のそれが、65.2%だったことを考えますと、もはや学生にとって、インターンシップへの参加は、当たり前となっているということがいえると思います。

ちなみに、弊社が運営する「就勝ゼミナール」の学生に聞くと、ほとんどが、何らかのインターンシップに参加したことがあると答えていました。

学生の間で、これだけインターンシップが当たり前のように浸透しています。むしろ、企業側がインターンシップを実施していなければ、早い段階で学生と接触できず、良い人材を取り逃すということになってしまうかもしれません。

また、2019年卒の採用活動で「採用がうまくいっている」と答えた企業の多くが、インターンシップを実施していると回答しています。

すなわち、インターンシップは、良い人材を獲得するための必須条件となっているといえそうです。

学生は、早期の接触を望んでいる?

マイナビの調査によると、2018年6月の時点で「内々定なし」と答えた学生のうち、文系で20.3%、理系で24.2%の学生が、「大学2年生より前でのインターシップへの参加が理想」と回答しました。早い時期にインターシップに行っておいて、業界や企業のことをもっと知っておけばよかったという後悔の気持ちが現れているのではないでしょうか。

弊社の「就勝ゼミナール」に通う学生にも、「もっと早く接触しておけばよかった。早く始めておいて損することはひとつもない」(福岡工業大学・大手塗料メーカー内定男子)、「極端な話をすると、大学1年生のときから就職活動ってはじまっているんですよね」(福岡大学・大手ブライダル系企業内定男子)という人は、思いのほか多かったような気がします。

インターンシップでないにせよ、たとえば「社会人訪問」というかたちで、大学1年次から学生の訪問を受け入れたり、企業自ら大学に出向き、早くから学生と接触すると、学生と企業の両方にとって効果的ではないかと思います。

働きやすさ、福利厚生の良さを口にする学生が増えた

給料、勤務地、社風のよさ…などなど、学生が企業を選ぶポイントは、多岐にわたっています。当然、人それぞれ選ぶポイントは異なるわけですが、2019年卒の「就勝ゼミナール」の学生に話を聞くと、働きやすさや福利厚生の良さを口にする学生が、思いのほか多かったように感じます。

「何だか大手=ホワイト、中小=ブラックって感じじゃないですか。実際、大手の方がカフェテリアプランとか福利厚生がいいし、親を安心できます」(西南学院大学・大手金融系企業内定男子)

「僕はワークライフバランスをきちんと取りたいので、土日休みのところがいいです」(久留米大学・大手卸系企業内定)

「複数内定をもらったときに、どっちに行こうかと考えたら、休日がしっかり取れて、残業が少ない方がいい。女子なので、プライベートも充実させたい」(中村学園大学・IT系企業内定女子)

大手広告代理店の若手女性社員や大手電機メーカーの男性社員が、過労を理由に自殺したことが、いまだに暗い影を落としているのでしょうか。はたまた政府の「働き方改革」によるものなのでしょうか。学生に貴社を選んでいただくためには、こういった働きやすい環境であることを告知するのも、大切なポイントではないかと思います。

早目の動きがカギを握る

2020年卒採用も、引き続き学生優位の「売り手市場」になります。そうすると、企業側が、いかに早めに動いて学生との接点を持ち、自社のことを知ってもらって”好き”になってもらうかがカギを握るのではないでしょうか。

具体的には、早めに2019年卒採用についての振り返りを行い、どんな人を採用するのかといった、採用戦略を設計していくところから始めていくのが望ましいと考えます。なお、採用戦略の設計については、下記のコラムもご一読ください。

持っていますか?新卒採用戦略【前編】

持っていますか?新卒採用戦略【後編】

今週もお読みいただきまして、ありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。