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2018.10.22 COLUMN

様変わりする採用戦線~みずほフィナンシャルグループの採用から学ぶ~

10月22日…毎年のように感じますが、この日を境に、季節が一気に変わりはじめるような気がします。「暑さ寒さも彼岸まで」とは言うものの、私の中では、10月22日から一気に秋の匂いを感じます。そろそろ衣替えを迎えそうですね。

さて、ことし、メガバンクをはじめとした銀行が、軒並み採用人数を減らしました。2018年3月24日付の朝日新聞デジタルによると、前年に比べ、三菱東京銀行が1割減、三井住友銀行が2割減となっています。

また、福岡の大手地銀である西日本シティ銀行が50名減と、銀行を志望する学生にとっては、なかなか厳しいものになりました。弊社が運営する「就勝ゼミナール」でも、銀行を志望する学生が、例年の3分の1程度までに減っているように感じます。数年前(特に2017年卒)までは、右も左も銀行志望の学生ばかりだったことを思うと、この激変ぶりに驚きを禁じえません。

中でも、みずほフィナンシャルグループの採用人数半減というのが、最も驚きを持って迎えられた話ではないでしょうか。その背景に、少子高齢化や日銀が進めているマイナス金利政策、IT化の推進があるといわれています。どう収益を上げていくのか。いわば、銀行を取り巻く外部環境は、厳しさを増しているということになりましょう。

そこで、ことし(2019年卒)の採用で見られた、みずほフィナンシャルグループの採用メッセージが、注目されます。今回のコラムでは、みずほフィナンシャルグループの採用から、今後の採用のつながるヒントについて、皆さまとともに学んでいきたいと思います。

「器用にそつなくこなせる人材ばかりでは前に進めない」

ブルームバーグ社の2018年10月1日付の記事によれば、みずほフィナンシャルグループでは、チームワーク力、状況判断力、問題解決力で高い評価を得て、似たようなタイプの人材がそろっていたそうです。逆に、創造的思考力やプレッシャーに耐える力に課題があるとしています。

もちろん、みずほフィナンシャルグループほどの大企業でありますから、採用要件(=採用において、自社で成果を上げる能力があるかどうかを判断する軸)を設計したうえで、優秀な人材の採用にあたっていることでしょう。

しかしながら、それだと、変化の激しい時代だと早晩行き詰まる。「器用にそつなくこなせる人材ばかりでは前に進めない」…みずほフィナンシャルグループは、人事戦略を統括する宇田真也執行役員を中心に、採用方針をがらりと変えたというのです。学生向け採用リーフレットの表紙に、「みずほらしくない人に会いたい」という文言が強調され、「今のみずほをぶっ壊す人を必要としている」そうです。

その結果、2018年8月29日時点での内々定者の資質を表す数値が、創造的思考力、状況適応力、プレッシャーへの耐力で、数ポイントずつ増えたそうです。これは、採用方針を変えた一定の効果があったものとみてよいのではないでしょうか。

異なる見方をする人物が、ブレイクスルーをもたらす

少し本筋とは異なるかもしれませんが、日産自動車、日本航空(JAL)など、”異なる血”を入れて再生した企業はそれなりにあります。やり方に賛否はあるでしょうが、特に日産自動車が、社長にカルロス・ゴーン氏という外国人を迎えて再生を果たしたことは、記憶に新しいところだと思います。

ゴーン氏は「コストカッター」の異名を取り、日産自動車でリストラを推進したといわれていますが、逆にいえば、まったく日産自動車とは関係ないからこそ、できたことも多いと思います。

また、経営破綻した日本航空(JAL)は、会長に稲盛和夫氏(京セラ、KDDI創業者)を迎え、京セラ流の「JALフィロソフィー」や「アメーバ経営」を浸透させて、過去最高益を叩き出すまでになったそうです。

そういう意味では、”異なる血”を入れることが、企業の再生や活性化につながった好例だといえるかもしれません。

新卒に期待するのは、「新たな風を吹かせてくれる人」

私の学生時代、ある企業の学内説明会に参加したとき、求める人物像が「新たな風を吹かせてくれる人」だったことを思い出しました。

当時は「就職氷河期」で「失われた10年」の真っ只中。今は景気こそ回復しているものの、AIやIT化、人手不足などによる変化の激しい時代、多様性(ダイバーシティ)を求められる時代においては、今までのやり方がまるで通用しなくなる場面が多くなることが予想されます。時代背景こそ異なりますが、そういう人を求めるのは、今も昔も変わらないような気がしてなりません。

そのようなときに、今までの貴社にない視点や発想を持つ人物を採用できると、何かしらのブレイクスルーにつながると考えます。

もちろん、基本的な価値観や方向性が一致しているというのが大前提になりますが、そのうえで、「新たな風を吹かせてくれる人」を採用すると、貴社の新たな成長につながるのではないでしょうか。そういう意味では、先のみずほフィナンシャルグループの採用方針は、時代の流れをしっかりと捉えたものであるといえるでしょう。

今週もお読みいただき、ありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。