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2018.09.25 COLUMN

持っていますか?新卒採用戦略【前編】

いきなり恐縮ですが、きょうは皆さんにこの質問をいたします。

「御社はどんな人物を採用したいですか?」

こう尋ねると、思わず口をつぐんでしまう採用担当者の方もいらっしゃるのではないかと思います。あるいは、こう答える採用担当者の方もいらっしゃるようです。

「体育会系でガッツのある人」

「ノリのいい人」

「高学歴(有名国公立大学、名門私立大学)の人」

これはこれで、ある種貴社の採用戦略に沿っている部分でもあると思いますが、少々基準があいまいで、”良い人材”が取れるかと言われれば、疑問と言わざると得ないでしょう。そして、「何となく」の雰囲気による採用になってしまいかねません。まずは、採用の基本から、確認してまいりましょう。

採用の要諦は、自社に貢献してくれる人物を採用すること

結論から申し上げますと、採用活動において最も大切なことは、自社に貢献(=利益をもたらしてくれる)してくれる人物を採用することです。これは、大手企業でも中小企業でも共通しています。採用担当者の皆さまにとっては、あまりにも基本的なことでしょうが、これは採用のキモにあたりますので、再度確認していただければと思います。

では、いったいどのような人物を採用すればよいのでしょうか?その前に、中途採用と新卒採用のちがいについて見ていきましょう。

中途採用=即戦力採用

まず、中途採用とは、一度社会に出て働いた経験のある人を採用することをいいます。企業によっては、経験者採用、キャリア採用というところもありますが、本質的には同じと言っても差し支えないでしょう。

中途採用は、欠員補充、増員、業務拡大など、直近での人材の必要性に応じて行われることがほとんどで、あまり間を置かずに入社するというケースが多いです。そして、「入社後すぐに成果を求める」ので、即戦力採用といえるでしょう。

では、中途採用で採用された人が、成果を出すには何が必要なのでしょうか?それは、能力と経験(3年以上)であると言われています。

新卒採用=早期戦力採用

一方、新卒採用とは、在学中で、(アルバイトを除いて)まだ社会に出て働いたことのない学生を採用することをいいます。学校を卒業する見込みの次年度4月1日付入社の学生を採用するというケースがほとんどではないでしょうか。概ね、会社説明会、書類選考、筆記試験、複数回の面接、内定者フォローという段階を踏みます。

では、新卒で採用された社員が、自社において成果を出すには何が必要なのでしょうか?それは、能力と入社後の教育です。まだ経験がない分を、3年から5年程度、芽が出るまで教育で補っていきます。いわば、”桃栗三年柿八年”ということでしょうか。

したがって、新卒採用とは、成果を出す能力を持っている学生を採用し、教育を通して育成することで、早期に戦力化する採用であるといえます。

ここまで、中途採用と新卒採用のちがいについて見てきました。

実は、以前私が勤務していた企業は、業績が芳しくなかったからでしょうか、新卒の社員に対して、すぐに結果を求める雰囲気がありました。その結果、疲弊し、育成に失敗して入社3年未満での退職者が相次ぎました。「あいつは根性がないから」と言って片付けようとする幹部クラスもいましたが、今にして思えば、それは、中途採用と新卒採用のちがいを踏まえた採用と育成ができなかったという点に尽きます。

ひとまず、ここでは、中途採用=即戦力採用、新卒採用=早期戦力採用という枠組みを押さえていただき、貴社にとっても学生にとっても幸せな採用を実現する”はじめの一歩”にしていただければ幸いです。

さて、ここからは採用戦略について述べていくことにいたしましょう。

繰り返しになりますが、採用において最も大切なことは、自社に貢献できる(=利益をもたらしてくれる)人材を採用すること。この1点です。この目的に合っていない採用を行っている企業は、ほぼ例外なく”良い人材”、”優秀な人材”を採用できていません。そこで、まず大切なのは、自社に貢献できる人物は、いったいどのような人物なのかを明らかにすることです。

では、自社に貢献できる人物とは、どのような人物なのでしょうか。私どもは、以下3つの要件があると考えます。

自社に貢献できる人物の3要件

①コミュニケーション力

②主体性

③論理的思考能力

自社で成果を上げている、活躍している人材にあてはめてみると、よくわかるのではないでしょうか。どの職種であれ、優秀な人材は、これらの能力に長けているはずです。

これらの3要件に加えて、自社独自での採用する要件をプラスしていくことで、どのような人物を採用すればよいかが、より明確になってくると思います。

そこで出てくるが、自社独自での採用する要件を、どのようにしてつくっていくのか?という疑問ではないでしょうか。私どもは、自社の「エース」を参考にするとよい、と考えます。

ほしい人材を明確にするには、自社の「エース」に聞く

「エース」とは、自社で活躍している人材であり、優秀な成績を上げている社員のことです。たとえば、自社における「エース」がAさんだとしましょう。そのAさんに、普段どのように働いているのか、その仕事をするために、どのような能力が必要なのか(職務遂行能力)についてヒアリングします。

そして、Aさんから聞いた話と、先ほどの3要件を合わせると、より欲しい人物像が明らかになってきます。採用担当者のみなさんにとっては、Aさんのような人がたくさん入社してくれたら、それはうれしい限りですよね。

あとは、どのようなかたちであれ、できるだけ多くの社員に対して、情報の共有を図っておくとよいでしょう。

欲しい人物像は、明文化して共有する

特に中小企業の場合、一部の人たちの中での暗黙の了解だったり、経営者たちへの忖度が働いたりと、欲しい人物像を明確に示していないケースがあると聞きます。その結果、本来採用できるはずの人材を逃してしまい、お互いのミスマッチにつながってしまうかもしれません。

そうした悲しい採用を避けるためにも、できるだけ欲しい人物像を明文化し、多くの社員に共有しておくことが必要です。最初のうちは、「明るい人」「まじめな人」といった抽象的な文言しか出てこないかもしれませんが、社内で煮詰めていくうちに、少しずつ具体性を帯びたものになっていくと思います。まずは明文化していくことが大切です。

あとは、選考の階層を決めていきます。少し具体的にいえば、書類選考、複数回の面接など、どの階層でどのような選考を行い、応募学生のどんなところを見るのかといった目的を明らかにすることです。ここに関しては、次回に触れていくことにいたします。

今回もここまでお読みいただき、ありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。