コラム / ブログ
COLUMN & BLOG

2018.10.09 COLUMN

実は貴重なパソコンスキルの高い学生

朝晩の気温差が激しくなってきました。既に福岡では、インフルエンザで学級閉鎖になった学校があるそうです。私、さすがに半袖短パンで寝るのは、もうやめました(苦笑)。採用担当者の皆さまにとっては、20年卒採用に向かってこれから忙しくなることだと思います。体調管理には、お互い気をつけていきましょう。

さて、ここ数年、パソコンを苦手にしている、もしくは使えない学生が増えてきており、隠れた社会問題になってきているようです。もしかしたら、皆さんのオフィスでもそうかもしれません。弊社が運営する「就勝ゼミナール」の学生を見ても、そのような傾向がみられます。

履歴書やエントリーシートの添削をメールで希望するというケースを例にお話しましょう。

私どもは、そういうかたちでの添削を希望する場合、学生には「添削を希望する文書をワード形式の添付ファイルとして貼り付けて、所定のメールアドレスまでお送りください」と伝えます。そうすると、どういうわけだか、個人のLINEにぎっしり書いて送ってくる学生が、思いのほか多いのです。返信するときの手間を考えると、思わず閉口してしまうこともあります。

そういう学生に対して、なぜそのようなかたちで添削を送ってくるのかを尋ねたところ、こういう回答が返ってきました。

「だって、(パソコンって、動作が)重いじゃないですか」(九州大学、大手学習塾内定男子)

「スマホの方がラク。これで大抵のことができてしまう」(福岡大学、人材会社内定男子)

「思いついたときに、スマホならパッと書ける。パソコンだとそういうわけにはいかないですもの」(佐賀大学、建設関連企業内定女子)

思わず納得というか…。ちなみに、両手での入力すらままならない学生もいました。

あるいは、スカイプやグーグルハングアウトなどを使った、遠隔地に住む学生向けの面接を受けるときに、設定一つできず、企業側に迷惑をかけてしまう学生もいました。思わず心の中で「ソフトのダウンロードから設定までできないとなると、この先どうなるのだろう?就活や卒論で苦労するだろうな…」と嘆いた次第です。

それにしても、なぜこうなってしまうのでしょうか。これには、やはり、スマホの普及に一因がありそうです。

デジタルネイティブ世代の”慣れ”は、スマホ?

デジタルネイティブ世代とは、90年代に生まれて、その後に成長した世代の人たちをいいます。既に彼らの中学・高校・大学時代には、スマホが当たり前の生活になっています。80年代初頭に生まれた私の学生時代は、いわゆる「ガラケー」でしたから、もはや隔世の感があります。

スマホは、友達同士のメールでのコミュニケーション、ネットサーフィンからショッピングまで、たいていのことができてしまいます。いわば、”小さなパソコン”ともいえるようなものですから、ちょっとしたことだけなら、これで完結してしまいます。パソコンの出番は、おのずと減っていくことになるでしょう。

ところが、社会に出ると、当然スマホだけでは仕事は完結しません。

たしかに、ちょっとした情報を収集する程度なら、スマホで済むかもしれません。ただ、そこから情報を加工、編集して執筆し、発信するとなると、スマホだけでは済まなくなってきます。

たとえば、実務でワードやパワーポイントに図表や装飾を入れることになったら、それこそスマホでの作業が難しくなるでしょう。エクセルで作った表をワードに挿入するということもあるかもしれません。こういうパソコンを使いこなすスキルは、実務上、必要になってくるはずです。そこで、パソコンのスキルが比較的高い学生を採用できると、貴社の”戦力”アップにつながっていくのではないかと考えます。

では、パソコンスキルの高い学生を採用するには、どうすればよいのでしょうか。以下、見ていきましょう。

パワーポイントを使った選考を取り入れてみる

パソコンスキルがある程度高いかどうかを図るには、選考の中でパワーポイントでの書類作成をおすすめします。

パワーポイントは、ある程度ワードやエクセルを使いこなせなければ使えないような機能がたくさんあると思います。パワーポイントでの書類作成ができると、実務でのプレゼンテーション用のスライドや企画書の作成なども、スムーズにいくことでしょう。社内の会議、研修や取引先へのプレゼンテーション、コンペなど、思いのほかパワーポイントの出番は多いのです。

パワーポイントのスライドに内容を落とし込むまでに、情報や内容の整理という作業が必要になってきます。文字がびっしり書かれたスライドは、読み手や聞き手のことを考慮していないということがいえると思います。

その一方で、必要な情報がシンプルにまとまったスライドを見ると、読み手や聞き手への気配りを感じられます。このことから、他者に対してわかりやすく情報発信できる、プレゼンテーション能力の高い人であることが、垣間見えるでしょう。

そこで、パワーポイントでの書類作成を、選考の中に取り入れてみると、以下4つのメリットがあると考えます。

①パソコンスキルのレベルを見ることができる

②記念受験を排除できる

今の学生にとっては(私たちもそうでしょうが)、資料を作成するだけも一苦労します。その手間を惜しんで、きちんとした資料を作成してくる学生は、それだけ志望強度が高いと見てよいのではないでしょうか。

③プレゼンテーション能力を見ることができる

 ④入社後の教育で、”本来の”内容に注力することができる

パソコンスキルの低い新卒が増えてきているせいか、パソコンの使い方についても研修せざるを得なくなっているようです。ちょっと昔では、考えられなかったことだと思います。

そこで、ある程度パソコンが使えることがわかると、その部分についての教育は不要となり、本来注力すべき内容(例:ビジネスマナー、営業など)の教育に時間を割くことができるでしょう。

実際、福岡の某人気企業では、最終選考の前に「自己PRシート」の提出を求めたそうです。「自己PRシート」のスライドを5枚までにまとめ、最終選考の前までに、スライドのデータを企業までに送ります。そして、面接では、応募学生が「自己PRシート」についてプレゼンテーションを行い、面接官が質問していくというものです。

弊社の「就勝ゼミナール」で、この企業を受験した女子学生がいました。パソコンスキルが比較的高く、最後の最後まで「自己PRシート」を粘り強く作成し、面接で想いをぶつけた結果、見事採用されました。ちなみに、この学生にとっては、第一志望の企業だったそうです。

パソコンスキルが高いということは、プレゼンテーションスキルや文章力もそれなりに高いといえるかもしれません。「就勝ゼミナール」でも、そういう学生は、軒並み大手企業や優良企業から内定をもらっています。

このご時世だからこそ、パソコンスキルの高い学生は、貴重な人材であると考えられます。是非、書類選考以外の選考の中に、パソコンを使った選考を入れてみるのもいいかもれませんね。

それでは、また来週お目にかかりましょう。