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2018.11.19 COLUMN

採用担当者に必要な「嫌われる勇気」

何年か前に、『嫌われる勇気』という本が100万部を超えるベストセラーになりました。実際に手に取り、ご記憶の方も多いのではないかと思います。今回は、採用担当者にも必要な「嫌われる勇気」についてお話していくことにいたしましょう。

採用は、成果を出してくれそうにない人を選び出さないこと

2018年9月25日付のコラムでも触れましたが、採用の要諦は、自社に貢献してくれる(=利益を出してくれる人物)を採用することにあります。それは、見方を変えると、自社で利益を出してくれそうにない人を選ばない、ということでもあるといえます。

人手不足の世の中ですから、「とにかく頭数を揃えなければならない」「入ってもらわなければ困るので、(入り口の時点で)学生に嫌われたらおしまい」とお思いになるのも当然だと思います。

しかしながら、必要以上に学生に気を遣い、おもねる必要はないのではないでしょうか。頭数を揃えたいがために、成果を出してくれそうにない人まで採用してしまえば、それこそ本末転倒ではないでしょうか。

そこで、採用担当者にとって必要になってくるのが、「嫌われる勇気」です。

迷わず「ウチに来なくてもいい」と伝えられるか

ダスキンの事業を手掛けることで知られ、14期連続増収増益を達成している株式会社武蔵野の小山昇社長は、こう述べています。

決められない学生には「他の会社に行ったほうがいいよ」とはっきり伝えています(2018年9月13日付「IT mediaエグゼクティブ」より)

採用は、自社に”合う”か”合わない”かについて見極める場でもあると思います。ここでいう”合う””合わない”は、成果を出してくれるか否か、価値観に合うか否かです。もし、目の前で面接している学生が、自社に”合わない”と感じたら、迷わず「他の会社に行った方がいいかも」と伝えてもよいのではないでしょうか。

実際にそういうことを言われた学生が、弊社が運営する「就勝ゼミナール」の中にいました。

「私が受けたある大手企業の人事採用担当者から『あなたは、ひょっとしたらウチじゃないところの方がいい』と言われました。最初はちょっとムッときましたが、後々考えてみると、なかなかそういうことまで言ってくれる人って、少ないと思います。今にして思えば、目の前の学生のことを考えての発言だったのでしょうね」(西南学院大学・地場大手デベロッパー企業内定女子)

「私は、福岡の某ベンチャー企業を受けました。最後の社長面接で、社長から『申し訳ないが、君はウチには合っていないかもしれない』と言われました。驚いたのが、その社長から『こういうところなら合っているかもしれないよ』と、わざわざ企業を紹介してくれたのです。これには驚きました。もちろん、まったく悪い気はしませんでしたね」(九州大学大学院・大手鉄鋼メーカー内定男子)

「最終面接で『ウチが君に合わなければ来なくていい』とその企業の社長から言われました。『えっ?』と思いましたが、そこまで私のことを考えてくれているなら…と思って、熟慮の末入社することにしました」(中村学園大学・IT系企業内定女子)

もちろん、言い方によっては、学生の心証を悪くしますので、気をつけていただきたいところですが、学生の印象は悪くないようです。それどころか、逆に「えっ?」となって、入社をすんなり決断してくれることもあるようです。

心優しい採用担当者の皆さまにとって、目の前の応募学生に対して「ウチに来なくてもいい」と伝えるのは、とても勇気のいることではないかと思います。イマドキの学生は、いわゆる”上げ膳据え膳”なので、否定されることに慣れていないことが多く、対学生の心証を悪くするかもしれません。

それでも、目の前の学生を見て「やはりウチに合わないな」と思ったら、勇気を持って「ウチに来なくてもいい」と伝えてもよいのではないでしょうか。それは、貴社と応募学生、双方のためでもあると考えます。

本日もお読みいただき、ありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。