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2018.07.30 COLUMN

インターンシップの運営で大切な3つのポイント

「命にかかわる熱中症」―このことばを聞かない日はありません。ここまでうだるような暑さが続くとなると、就寝時にもエアコンのお世話になる機会が多くなりますよね。つい数年前は、節電モード一色でしたが、それは遠い昔のことなのでしょうか。やはり、命は節電に替えられないということなのでしょう。採用担当者の皆様にとっても、暑い夏はまだまだ続きそうですので、こまめに水分を摂るなどして、力を合わせて乗り切っていけたらと思います。

前回前々回のコラムでは、「1dayインターシップ」「短期インターンシップ」プログラムについて見てきました。どちらかといえば、「職場見学型」「同行体験型」といったインターンシップの型や内容についての話が中心でしたので、今回は企業側にとってのインターンシップ運営における大切なことを、3つのポイントに絞って述べていきます。内容も大切ですが、それと同じくらい「どう運営していくか」も大事だと私どもは考えます。

その前に、前回、前々回のコラムでも書いたこの質問からさせてください。

「そもそも、御社がインターンシップを実施する目的は何ですか?」

この問いに対する答えを準備することから、すべてがはじまります。答えがちがえば、インターンシッププログラムの内容も、準備すべき内容も、企業によって異なってきますから。

インターンシップは、「1day~」も「短期~」も、いわゆる会社説明会とは異なり、長丁場になります。その分準備すべきことも多くなります。そこで、早速、満足度の高いインターンシップを実施するために大切な3つのポイントのうち、1つ目をご紹介しましょう。

【その1:全社員にインターンシップの目的が共有されている】

企業にもよるとは思いますが、インターンシップを「少しでも母集団形成や採用につなげたい」とお考えでしたら、総務・人事部門の担当者が旗振り役になると思います。彼らが、全社員に対してインターンシップについての情報共有をどれだけしているかが、学生のインターンシップに対する満足度を上げるひとつの要素になるでしょう。具体的には

・「なぜインターンシップを実施するのか」

・「このインターンシップをどんな思いで実施するのか」

・「学生に何を持ち帰ってもらいたいのか」

・「学生にどうなってもらいたいのか」

・「学生にどう接すればいいのか」

といったところでしょうか。つまり、インターンシップを実施するにあたっての「マインドセット」(心構え)をどれだけ社員間で共有されているかが大事になります。

ここで弊社が運営する「就勝ゼミナール」の学生の声を聞いてみましょう。

「ある地銀のインターンシップという名の座談会に参加したのですが、すごく歓迎されている感じがよかったです。おそらく社員同士の意思疎通や目的の共有が図れているのでしょうね」(福岡大学・地銀内定女子)

「ある旅行会社のインターシップに参加しました。この会社、決して大手ではなかったのですが、参加する学生にどうなってもらいたいのかをオリエンテーションの時点で、きちんと説明してくれていました。自分の中ではやる気のスイッチが入りました」(福岡大学・スポーツ関連会社内定男子)

その一方で、こんな不満の声も聞きました。

「あるテレビ局のインターシップに参加しました。業務内容に関することがよくわかって、満足度はそれなりに高かったのですが、廊下ですれちがう社員さんの中には『なんでアルバイトじゃない学生がいるの?』という顔をした方もいらっしゃいました。ちょっと『あれ?僕って怪しい人なの?』(笑)のように不安に感じることもありました」(九州大学・エネルギー系企業内定男子)

「なんか『他もやっているからとりあえずやっています』って感じの企業でした。そんな感じだったら、インターシップなんてやらない方がマシだったと思うし、他のことに時間を費やした方がよかったと思います」(久留米大学・小売業内定男子)

いかがでしょうか。この社員間の「マインドセット」が薄い、もしくは欠落していると、参加している学生がモヤモヤしてしまうかもしれません。

次に、2つ目のポイントについて見ていくことにしましょう。

【その2:受け入れの準備がしっかりとできている】

これはインターシップの運営に限らず、すべての業務において重要なポイントではないかと思いますが、学生受け入れの準備がしっかりしているというのは、大事なポイントではないかと考えます。準備がしっかりしていれば、企業側も安心してインターシップの運営に臨むことができますし、何より学生に安心感を与えられます。

再び「就勝ゼミナール」の学生の声を紹介しましょう。

「私が参加したのは、地元の化粧品通販会社の『短期インターンシップ』でした。少数精鋭の企業だったというのもあるのかもしれませんが、とても準備がしっかりされているという印象があり、安心して参加できました。インターンシップ後の会社訪問も歓迎してくれましたので、私の中ではかなり志望度が上がりましたね」(西南学院大学・化粧品メーカー内定女子)

「私が参加したのは、ある旅行会社のインターシップでしたが、とても準備がしっかりしているという印象を受けました。名札や書類を綴じておけるファイル、タイムスケジュールなど緻密に準備されていて、とても動きやすかったです。社員さんからは、けっこう厳しいフィードバックもありましたが、このインターンシップがなければ、私自身の成長はなく、志望する企業への内定はなかったと思っています」(九州産業大学・地銀内定女子)

やはり受け入れ準備がしっかりできている、というのは、企業と学生の双方にとってプラスに働くようです。

では、どのようなところに重点を置いて準備していけばよいのか、以下見ていきましょう。

□タイムスケジュール表の作成

インターシップの運営にあたり、旗振り役の総務・人事が、営業、商品開発、技術部門などの他部署を”巻き込み”、協力を要請することが多くなると思います。すなわち、それは他部署の業務時間に割って入り、通常業務とは異なる動きが生じてくるということでもあるといえます。

そこで、できるだけ詳細なタイムスケジュール表をつくっておくと安心です。これをつくっておくと、どの時間帯でどのプログラムが組まれ、自分の部署に学生がきたときに何をすればいいのかが一目瞭然ですし、心の準備もできます。全社員への共有が難しければ、せめて所属長には話を通しておくと、インターシップがスムーズに進められるかもしれません。

□役割分担

タイムスケジュール表作成の後は、社員の役割分担を決めることが大切になってきます。主なものとしては、全体を統括する統括責任者、受付担当者、一日動きを共にする担当者、(「1dayインターシップ」なら)司会進行役などでしょうか。この中でも特に大事なのは、一日の動きを共にする担当者です。

前回のコラムにも書きましたが、満足度の高いインターンシップに共通する要素のひとつとして、社員から学生へのフィードバックが挙げられます。学生としては、「このインターンシップで何かを得たい」「学びたい」「成長したい」といった期待を抱いています。一日の動きを共にした社員からの具体的かつ的確なフィードバックがあると、貴社インターンシップへの満足度が高まっていくことでしょう。

□資料

大学の単位取得の一環として、インターンシップに参加している学生もいるようです。その場合、大学によっては、後日レポートや研修日誌の提出を求めるところもあります。自宅や大学に戻ってそれらの作成にあたるときに、インターンシップで学んだことについて復習するはずですから、何かしら手元に残るような資料があると、学生の安心度が高まると思います。

例えば、

・会社説明を行ったら、そこで使用したパワーポイントのスライドを印刷して渡す

・社員がフィードバックを書き込めるような「評価表」を用意しておき、口頭に加えて(後日でも構わないので)社員が直接手書きしたものを学生に渡す

・インターシップ中に配布する資料を挟めるファイルを準備しておく(これは、自分専用のファイルを用意してあげる⇒特別な感じ、歓迎されている感じを演出する⇒学生の満足度を上げる、というのにも効果的です)

などが挙げられます。

□備品

名札やペンなどといった基本的なものです。必要な時に必要なものがないというのは、準備不足を露呈することになり、そのようなちょっとしたことで学生の満足度を下げることになってしまいます。備品ではないですが、準備という意味において、インターシッププログラムの中に工場見学を組み込んでいる企業なら、もしもの時のための救急体制を整えておくことは重要です。

最後の3つめは、フィードバックの時間を確保しておくということです。

【その3:フィードバックの時間を確保しておく】

前回のコラムにも書きましたが、(個別での)フィードバックの時間と質が高ければ高いほど、参加学生の満足度は高まり、応募意欲が高まる傾向にあるといえます。できれば、その日の終わりに30分以上確保してあげるとよいのではないかと思います。タイムスケジュールを作成するときに、フィードバックの時間をあらかじめ書き込んでおくとよいでしょう。

もちろん、30分以上確保できるところは、十分確保してあげてもよいですが、他の業務との兼ね合いも鑑みると、60分程度が限界ではないかという気がいたします。

また、午前の終わりに15分間の振り返り、終業時に15分の振り返りといった感じで合計30分を確保して、学生に「次なる成長のために何をすればいいか」を考えてもらう、PDCAサイクルを回して学生に成長を実感してもらうようにするのも、よい取り組みだと思います。

インターンシップでは、プログラムの内容も大事ですが、どのように運営していくかも同じくらい大事になってくるのではないかと私どもは考えます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。