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2018.10.29 COLUMN

中小・ベンチャー企業が、採用で大手企業に”勝つ”には~メルカリの小泉文明社長に学ぶ~

早いものでそろそろ11月です。11月は、夏季インターンシップ(選考)、秋採用などが一段落する時期になってくると思います。ということは、そろそろ冬季インターンシップや2020年卒採用に向けて、力を蓄える時期でもあるといえるかもしれません。来るべき時期に備えて、今のうちからいっしょに準備を進めてまいりましょう。

さて、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのフリーマーケットアプリ大手、株式会社メルカリ。2018年10月1日付入社の社員を118名採用し、そのうち44人がアメリカ、カナダ、インド国籍のエンジニアとなっており、大きな話題となりました。そのようなメルカリも、最初はたった3人からスタートしたベンチャー企業だそうです。今回は、会社として成長を遂げたメルカリの採用手法から、中小・ベンチャー企業が、採用で大手企業に”勝つ”方法を、いっしょに学んでいくことにいたしましょう。

ポイント①:トップ自ら会ってお茶に誘って口説く

メルカリの小泉文明社長は、「狙った人物は、トップ自らお茶に誘って口説く」そうです。

▲写真はイメージです

一般的な採用手法だと、社長が出てくるのは最終面接あたりになります。ところが、採用の階層に関係なく、自ら「いい」と思った人物を、直接口説きにかかるのは、学生の立場からすると、企業の本気度が垣間見えて好ましく映ることもあるそうです。福岡のとある中小企業の企業説明会に参加した「就勝ゼミナール」の学生の声を紹介いたしましょう。

「この会社、会社説明会の段階から社長が出てきて、ある意味ビックリしました。でも、いい学生と出会って、会社を成長させていきたいとおっしゃる姿を見て、採用試験を受けてみようという気になりました」(西南学院大学・地場大手デベロッパー内定女子)

「会社説明会の段階から社長がいらっしゃるなんて、なかなか珍しいですよね。でも、最初から一番その会社についてわかっている人から話を聞けるのは、情報収集において、かなりプラスになります。『今度、個人的に会いたいので、会社にいらっしゃいませんか?お茶でも飲みながら色々話を聞かせてよ』と言われたときは、一瞬ドキッとしたものの、熱意を感じて好ましかったですね」(佐賀大学・IT系企業内定男子)

このように、トップ自ら欲しい学生の獲得に動くのは、学生にとって好ましく映ることもあるようです。

また、メルカリには、優秀な人材が集まっているそうです。では、なぜそのような優秀な人材を集めることができるのでしょうか。メルカリ・小泉社長のインタビューから読み解いてみることにしましょう。

ポイント②:ビジョンと軸が合っているかどうか

「まず、僕らが描きたい未来をしっかりと説明する。僕らのビジョンと、その人が人生を懸けてやりたいことの”軸”が合っているかどうかが重要なんです」(2018年9月14日付「ダイヤモンドオンライン」 メルカリ特別特集特別インタビュー第1回より)

産まれたてのベンチャー企業や中小企業は、特に初期のメンバー(=チャーターメンバー)に誰を選ぶのかが大事になってきます。つまり、「誰を同じ行き先のバスに乗せるか」どうかで、会社の方向性が決まってくるということではないでしょうか。その方向性を決定づけるのは、企業のトップ=社長ということになります。

採用において、社長の役割は、同じ未来や方向性を目指せる学生を選び出すことです。採用の初期階層で、会社のビジョンや方向性を社長自ら直接言い続けることが、より同じ方向を目指し、成果を出してくれる人物の採用につながっていくのではないかと考えます。

先の小泉社長は、こうも述べています。

「極論、軸が合うというのは、僕らの目指すミッションの話をしたときに、『あ、それいいね』と返してくれるかどうか。転職して人生を変えるのは、リスクがあります。僕らの軸と合っていれば積極的に誘うし、合わなければ誘いません。だから、空振りも多いんです」(2018年9月14日付「ダイヤモンドオンライン」 メルカリ特別特集特別インタビュー第1回より)

「実際、採用は初期の時代こそ超重要ですよね。採用力のある会社こそが大きく前進していくことができる。その中で僕がやっていたことは、結構な人数になるまで、僕自身が書類の審査と一次面接をやっていましたね」(2018年10月5日付「現代ビジネス」 メルカリ小泉氏が明かす「本当のプロフェッショナル」を採用する方法)

書類選考と一次面接を社長自ら行うというのは、既存の採用手法では、なかなか考えにくい部分ではないかと思います。小泉社長は、こう述べています。

ポイント③:社長自ら一次選考して時間の無駄を省く

「要は、その部分を下の人に任しちゃうと、『この人どうかな』って迷った時点で、安牌を選んで、上の人に検討してもらえばいいか……、って迷ったら通過させちゃったりするんですよ。そうすると書類選考や一次面接が時間の無駄になるんで、厳格な目で僕が見るっていうのをやっていました」(2018年10月5日付「現代ビジネス」 メルカリ小泉氏が明かす「本当のプロフェッショナル」を採用する方法)

これは、ある意味理にかなっているといえるのではないでしょうか。

応募者を採用するかしないかを最終的に決めるのは、社長です。いわば、最終決定権者が、初期階層で出てくるということは、それだけ企業に合っている人物であるかどうかを効率よく選び出せるということだと思います。採用に「ヒト・カネ・モノ」を潤沢に投入できない中小・ベンチャー企業は、この手法に学ぶところが大きいように感じます。

このように、メルカリ・小泉社長の採用手法から学ぶところは多いのではないでしょうか。スピードや効率よさを求めるIT系ならではともいえるかもしれませんね。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。