コラム / ブログ
COLUMN & BLOG

2018.08.06 COLUMN

「2022年問題」を乗り越えて選ばれる企業 4つの特徴

突然ですが、皆さんに質問です。

「2022年問題」という言葉をご存知でしょうか?

ざっくり申し上げると、労働人口が減り、新卒採用において、2022年を境に今まで以上に人材獲得競争が激しくなる傾向のことをいいます。

2018年6月1日付日本経済新聞が、国立社会保障・人口問題研究所の調査結果を引用しつつ、新卒の大半を占める22歳の人口が、2022年を境に数万人単位で減少を続ける見込みであることを明らかにしました。すなわち、今まで以上に(優秀な)人材の確保が困難になり、企業側が学生に選んでもらう努力をしないことには、人材獲得がままならなくなるということがいえると思います。

それでは、この「2022年問題」を乗り越え、学生に選ばれる企業とはどのようなものなのかについて見ていくことにいたしましょう。

その前に、イマドキの学生たちの頭の中身をいっしょにのぞいてみませんか。ここを知っておくと、今後の採用活動の何らかのヒントになるかもしれません。

「安定志向」の強い学生たち

リクルートキャリア「就職みらい研究所」の調査によれば、支持される経営スタイルで「安定し、確実な事業成長を目指している」と答えた学生は、82.7%を占めました。また、「入社直後の給与は低いが、長く働き続けることで後々高い給与をもらえるようになる」と答えた学生が、79.2%もいました。

このことから、学生の安定志向が垣間見えるでしょうか。弊社の運営する「就勝ゼミナール」でも、安定志向の学生は多いように思います。また、売り手市場だからなのでしょうか、大手を目指す学生も一定程度おり、まだまだ大手企業=安定という図式は、根強く残っているように感じます。

とはいえ、ずっと同じ企業に働き続けられるわけではないとも思っているようです。具体的な企業名は控えますが、これから就職を迎える学生たちは、誰もが知る大企業が経営破綻したり、人員整理をしたりするのを目の当たりにしている世代でもあります。そのような社会情勢を反映し、現実路線を取っているのでしょうか。先の「就職みらい研究所」の調査でも、「どこの会社に行ってもある程度通用するような汎用的な能力が身につけたい」といったスキルアップ面に興味を持っている学生は、70.4%に上っているようです。

以上のことから、学生の「安定志向」というのは、大手企業で働くというより、むしろどの会社に行っても通用するスキル(ポータブルスキル)を身に付けて、「食べるのに困らない」ということがいえると思います。

それでは、どのような企業が学生から選ばれやすいのでしょうか。以下、見ていくことにいたしましょう。

選ばれる企業①:安定・確実な事業成長を目指している

映画「ビリギャル」の原作者でもある坪田信貴氏は、テレビ番組の中でこう述べていました。「成長の嫌いな人間はいません」と。これは企業にも社員にもあてはまるのではないかと思います。

学生は、決して急進的な成長を望んでいるわけではなく、安定かつ確実な成長をしている、すなわち、ゆるやかに成長している企業を好む傾向にあるようです。「就職みらい研究所」の調査でも、「安定し、確実な事業成長を目指している」と回答している学生は82.7%に上っていることがわかりました。

貴社が学生向けに企業説明会やインターンシップを実施するときは、そのような点も訴求すると、母集団形成につながっていくと思います。特に理系の学生に対しては、成長率などを具体的な数値で示してあげると、安心感と納得感を醸成できるでしょう。

選ばれる企業②:特定の地域で働ける=転勤が少ない

特に九州の学生は、地元志向が強いようです。株式会社マイナビが、2018年度入社予定(当時)の学生に調査したところ、「出身高校のある都道府県で働きたい」と答えた学生は、福岡県下で69.4%に上ったそうです。弊社の「就勝ゼミナール」の学生も、例外ではありません。学生の声を紹介しましょう。

「最初の2年くらいは地元(福岡)以外でもいいですが、最終的に福岡に戻って来られるという保証がなければ、正直不安です」(福岡工業大学・メーカー内定男子)

「転勤はあってもいいですが、できれば近隣が望ましいです。あまり遠方ばかりだと親が心配します…」(山口大学・地銀内定女子)

なるべく転勤が少ない、もしくは転勤があったとしても近隣の県や市町村だと、学生に「地元で安心して働ける」というメッセージを発信することができ、母集団形成につながっていくのではないかと思います。

選ばれる企業③:ワークライフバランスが取れる

大手広告代理店の若手女性社員や大手電機メーカーの若手男性社員が、過労を理由に自殺した事件などが暗い影を落としているのでしょうか、「働き方改革」という言葉に敏感になっているのでしょうか、残業に対して、かなり抵抗を感じている学生が多いように思います。

就勝ゼミナールの学生も、このように述べております。

「私は、仕事も結婚も家庭もぜんぶ欲しい。仕事はきっちり成果を出していくために全力で頑張りますが、そのあたりを考慮してくれない会社は嫌です!」(西南学院大学・外資系製薬会社MR職内定女子)

「残業がどれくらいあるのかは明示してほしいです。入ってから『ブラック企業でした』というのは、ある意味だまされたような気分になります」(佐賀大学・IT系企業内定男子)

「仕事上致し方ないかもしれませんが、仕事が終わった後の飲み会や接待が多いようだと、結局自分の時間が取れなくなってしまい、ワークライフバランスがとれなくなってしまうのではないかと思ってしまいます」(西南学院大学・金融系企業内定男子)

「就職みらい研究所」の調査によれば、「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールしたい」と考える学生は、86.4%いました。会社説明会やインターンシップを通して、いわゆるワークライフバランスの取れる会社だと、学生が安心して貴社に応募してくれるのではないでしょうか。

選ばれる企業④:教育・研修制度が充実している

これも「就勝ゼミナール」の学生からよく聞く声のひとつです。学校に入るにせよ、世代的に色々と与えられている(いわゆる「上げ膳据え膳」という状態ですね…)ので、「会社に入っても、何か与えてくれる、教えてくれるだろう」と思っている傾向があるように感じます(良いか悪いかは別ですが…)。当然「俺の背中を見て覚えろ」といった感じで、教育・研修がないに等しい状態は、学生からなかなか選ばれにくくなってきています。

また、終身雇用制度が崩壊しつつある昨今、学生たちは、現実的にひとつの会社でずっと働けるとは思っていないようです。そうすると、やはりどこでも通用するスキルのようなものがほしい、もしくは会社から与えてもらいたいと思っているのかもしれません。そういう背景から、教育・研修制度の充実を企業選びのポイントのひとつに挙げる学生は、一定数いるように感じられます。

教育・研修制度の充実と聞くと、「ウチは大手(企業)さんほど教育に時間とお金はかけならない」という声も聞こえてきそうですが、中小企業だからこそ、全員で新人・若手社員のひとりひとりに目が行き届きやすいというメリットもあります。

学生にとっての「自分を見てくれている」といった所属欲求や承認欲求を満たしてくれると、企業イメージのアップにつながり、母集団形成にもつながってくるのではないでしょうか。実際、中小企業でも、採用から社員の育成までをひとりの社員が担当し、学生の満足度を上げて毎年コンスタントな採用を可能にしている企業もあるようです。

ここまで、「2020年問題」を乗り越えて選ばれる企業の特徴として…

①安定・確実な成長を目指している

②特定の地域で働ける=転勤が少ない

③ワークライフバランスが取れる

④教育・研修制度が充実している

ことを見てきました。

「2022年問題」を境に、これまで以上に人材獲得の激化が予想されます。時代の変化に合わせて、採用へのスタンスも変えていくときにきているのかもしれません。