2020.07.30
COLUMN
やりがいある仕事のために必要なこととは?
Q:やりがいある仕事のために必要なことは?
A:「中核五次元」を満たした仕事を設計すること
どうやってやりがいのある仕事を作れば良いのでしょうか。「仕事の報酬は仕事」という言葉が社内共通言語となっているリクルート社から学んでみましょう。
ハックマンとオルダム「職務設計の中核五次元」
『心理学的経営』はリクルート社の人事役員として組織文化を作ってきた大沢武志による実践書です。同書では仕事を設計する原則としてハックマンとオルダムの「職務設計の中核五次元」をあげています。
「スキルの多様性」「タスクアイデンティティ」「仕事の有意義性」「自律性」「フィードバック」。
この5つを満たす仕事は「やりがい」が高まる可能性が高いのです(ただし当人の能力と技能が著しく低い場合、成長への欲求が弱い場合、賃金や作業条件など環境条件に不満を持っている場合には、やりがいは高まりません)。
弊社では数十社の仕事を分析してきましたが、この中核五次元は業界・企業規模・職種にかかわらず共通していると感じています。
「若者を仕事に駆り立てる」心理的条件
同書は「なぜリクルート社の社員はそんなに元気なのか?」という世の中の問いに答えて書かれたものです。その「若者を仕事に駆り立てる」秘訣とも言える心理的条件が次のとおり示されています。
自己有能性:挫折感や自身の喪失などの葛藤を乗りこえ自己効力感を体験できること
自己決定性:自由裁量の幅が大きいだけではなく、自己責任性を伴うこと
社会的承認性:努力、苦労、成果が認められることで心理的充足と情緒的安定を得ること
自己効力感、自己裁量、自己責任、心理的充足、情緒的安定…。
昨今も流行として耳にする言葉たちですが、40年以上前から日本企業であるリクルート社で実践されてきたのですね。
まさに変わらぬ原則(不易)であると言えるのではないでしょうか。
次回はやりがいと似た概念である「モチベーション」の高め方を考えます。