コラム / ブログ
COLUMN & BLOG

2020.12.19 COLUMN

今注目されている雇用シェア!在籍型出向における注意点とは?

新型コロナウイルス感染症の拡大により経営状態が悪化し、様々な業種で多くの会社が従業員の雇用を維持するために、一時帰休や休業を命じるということが行われています。その中でも外部出向による形で従業員の雇用を維持する「雇用シェア」の動きは広がっており、注目を集めています。注目される雇用シェアの内容と、出向とは何かを改めて確認しましょう。

1.雇用シェア(在籍型出向)とは?
2.雇用シェアを後押しする助成金が創設予定
3.出向を行う場合の労働条件についても要確認
4.まとめ

■雇用シェア(在籍型出向)とは?

雇用シェアとは、いわゆる在籍型出向の制度です。在籍型出向では、出向を行う会社の社員としての身分は残したまま、外部の会社の管理下で働くということになります。そのため、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に雇用環境が悪化し、雇用過剰となってしまった会社が、在籍型出向を利用して会社に身分は残したまま人手不足が生じている会社に対し従業員を出向させ、出向先の会社で働いていただく、ということが盛んになっています。
公益財団法人「産業安定センター」では、この仕組みを利用してより多くの従業員の雇用を維持するために、会社のマッチングを行っています。
よく在籍型出向は労働者派遣契約と間違われがちですが、労働者派遣契約は派遣元のみと雇用関係があるのに対し、在籍型出向は出向先と出向元、両方と二重に雇用関係が生じることに違いがあります。

■雇用シェアを後押しする助成金が創設予定

政府もこの雇用シェアを推進するために、施策を検討しています。
雇用維持を目的として在籍型出向を行う場合、現在も雇用調整助成金を利用することは可能です。ただし出向による雇用維持を行う場合、助成額は休業よりも少なく、また出向元の会社しか助成を受けられないことから、利用される機会は多くありません。このような状況もあり、より雇用シェアを推進していくために、新しく産業雇用安定助成金(仮称)の創設を予定しています。この助成金では出向元だけではなく出向先も助成を受けられるような制度となる予定で、調整が進められています。
雇用調整助成金の特例措置は、2021年2月末まで延長されることが決定しておりますが、その後は段階的に縮減し、2021年6月までにリーマンショック時並みの特例とすることを基本想定とすることも発表されました。雇用調整助成金の段階的な縮減は令和3年度予算概算要求にも表れており、このような新しい助成金制度には期待です。

※2020年12月17日更新
産業雇用安定助成金(仮称)に関する情報が公開されています。
出向中に要する賃金(残業手当?賞与?)経費の範囲等、まだまだ気になるところはたくさんあります。
産業雇用安定助成金(仮称)の創設

■出向を行う場合の労働条件についても要確認

実は出向は民法や労働基準法などの法律で、定義がされているわけではありません。
労災保険は出向先で加入する必要がある、といった取り決めがある場合もありますが、基本的には当事者間の話し合いで決めることができる内容が多く、出向契約や協定などで、出向をさせる場合の労働条件についてきちんと取り決めをしておくことが重要となります。
出向期間や出向期間中の労働時間・休日、給与や社会保険負担はどうなるのか、就業規則の適用はどちらになるのかなど、しっかりと内容を定め、従業員にも労働条件として通知しましょう。特に雇用シェアの場合は異業種での勤務となることも多く、慣れない勤務時間や作業になりがちです。従業員が使うことが出来る制度や福利厚生についてもしっかりと確認し定めましょう。

■まとめ

コロナ禍の中、活用が期待される雇用シェアや出向の内容についてまとめました。出向の際の労働条件設定についても十分に注意し、助成金なども活用いただきながら、従業員の雇用維持に役立てていただきたいと思います。