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2020.06.30 COLUMN

ベテラン社員に対する基本スタンスとは(3)

前回に引き続き、今回は「能力特性」について4分類に分けてまとめさせていただきました。

休眠タイプ:人間力、スペシャリティーの両方を持っているベテラン社員

モチベーションが低く、自分の部下に甘んじているベテラン社員の中に、そんな優秀な人はいないと思うかもしれませんが、あり得る話です。

業績不振で一時的に降格している、所属していた部署、子会社、プロジェクトが消滅した、プライベートで問題を抱えておりフルパワーで働けない、体調不良など、少し考えただけでも沢山理由があるでしょう。

本来やればできるわけですから、休眠タイプと呼べば良いでしょうか。

ある意味、ゆっくり寝ていて頂ければ良いのかもしれませんが、本来できる人間ですからプライドは高く、若手管理職の指示・命令に納得できないこともしばしば。

休眠タイプを変な起こし方をすると、手ごわい敵になってしまいます。人間力もあり、スペシャリティーもあるわけですから、敵になってしまうとチームが分裂してしまいます。

そのベテラン社員が抱えている事情にもよりますが、できる範囲で思い切って、大きな仕事を任せたほうが良いでしょう。小さな仕事だけお願いするとモチベーションはさらに下がるでしょう。また、人間力もあるため、仕事だけではなく、部下の一部も預けるぐらいの気持ちで丁度良いと思います

分裂してしまうのではなく、意図的に小さなチームを作ってしまうという感覚です。

休眠タイプがベテラン社員に対して占める比率は小さいですが、今後は少しずつ比率が上がっていくと思います。

ご意見番タイプ:人間力はないが、スペシャリティーはあるベテラン社員

このタイプはある程度、ボリュームがあるでしょう。

ご意見番タイプの厄介なところは、人間力がない分、自分のチーム内におけるポジションを気にするというところです。自分の居場所を作るために、スペシャリティーをフル動員してきます。結果的に、ミーティングが長くなったり、仕事が過剰品質になったり、新入社員にくどくど説明したりして、生産性に影響を及ぼします。

それだけならまだ良いのですが、人間力がないのに色々な場面や人に干渉してくるため、チームメンバーが困惑します。頑張って指導的立場をとっているのに、自分から人の気持ちが離れていく様子を感じとり、ますます意固地になる傾向があります。

ご意見番タイプには、まさにチームのご意見番をお願いし、リーダーである若手管理職の参謀をお願いすると良いでしょう。「自分にはスペシャリティーが足りないので、自分に知恵を授けてください。」と頼るのです。部下育成を任せにくいため、自分自身の補佐をしてもらうというところがポイントです。

チーム方針や指示の中に、ご意見番からの助言を盛り込んで、立ち位置を確保してあげると良いでしょう。スペシャリストなだけに、自分の考えが皆に認められるとモチベーションも上がっていくでしょう。

ご意見番タイプは、時間に余裕があると干渉を繰り返すので、工数が余らないようにタイムリーに業務を依頼していきましょう。ただし、無下に大量の業務を渡すと、人間力がないだけに愚痴を言ってくることがありますので、依頼の仕方にはあくまで注意が必要です。

「自分には難しいので、何とかお願いします。」という感じで、常に依頼スタンスを崩さないようにすることが大切です。

良い人タイプ:人間力はあって、スペシャリティーがあまりないベテラン社員

良い人タイプも、ある程度ボリュームがあるでしょう。

スペシャリティーがないのは困ったもので、業務をお願いしても品質不足で手戻りが発生するところが悩みのタネ。丁寧に修正を依頼するも、修正頻度が高くなるにつれて、若手管理職がイライラしてしまう。

良い人だけに、若手管理職の暴言ともとれる乱暴な指導にもキレることはありませんが、その様子を横で見ている他のチームメンバーの心境に注意が必要です。

若手管理職:仕事はできるかもしれないが、悪い人。
ベテラン社員:仕事はできないかもしれないが、良い人。

他のチームメンバーの気持ちが自分(若手管理職)から離れていかないように注意しましょう

良い人タイプなだけに、チームメンバーの気持ちの部分のフォローをお願いすると良いでしょう。管理職になると、部下の気持ちが直接自分の耳には入ってこないようになります。そうしたときに、良い人タイプにパイプ役になってもらい、情報収集や対応をしていくということです。

人間力があるタイプですから、「人に関すること」で頼りにされると、頑張ってくれるでしょう。管理職との関係が良好になってくると、様々な業務を率先してやってくれるようになります。

空気タイプ:人間力、スペシャリティーともにないベテラン社員

モチベーションが低くて、人の面倒も見れなければ、専門性もない。辞めて頂くしかないような気もしますが、一度冷静に考えてみましょう。

ある経営者と話していたときのことです。こういう空気みたいな人は辞めて頂くべきではないかと発言したところ、示唆に富んだ例え話をして頂きました。

「並々とお湯が入ったお風呂と、組織は似てるんだよね。お風呂の栓を抜いて、水位が低い部分のお湯を抜いたとしよう。次第に水位が低くなっていき、高い場所からお湯がなくなる。組織も似ていると思うんだよね。

組織で言うなら、出来の悪い社員に退場してもらうということだね。そうすると、その出来が悪い社員がやっていた仕事を次に出来が悪い社員が担当することになる。それを最後まで繰り返していくと、一番優秀な人は、二番目に優秀な人の仕事をやることになる。一番優秀な人がやっていた仕事は誰がやる?結果的に組織力は下がるんだ。

だから、出来が悪い社員がいたからと言って、安易に退場させたらお風呂の栓と同じことが起こってしまう。

そして面白いことだが、栓を抜いて一番下のお湯がなくなったところで栓をしても、その時点で一番低いところにあるお湯は、残った社員中では一番出来が悪い社員ということになる。そんなことを延々と繰り返して、組織が良くなるとは思えない。

確かに、上から新しいお湯を注ぐという手段はある。毎回新しいお湯を、抜く量より多くすれば水位は下がらないかもしれないけど、そういう考え方をしている会社に、就職したい人ってどれぐらいいるのかな。

であれば、もう一度、その出来が悪い社員の様子をじっと観察する。確かに仕事はできないし、だらしないかもしれないが、ユーモアのセンスがあって、その人がいるだけで組織が明るくなるっていうこともある。組織のトップたるものは、常に人材の長所に目を向けるべきだと思う。」

多種多様な人材をマネジメントできる人が優秀なリーダーです。若手管理職で将来は大きな組織をリードしたいという方は、少し考え直してみると良いかもしれません。