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2020.06.23 COLUMN

ハラスメントというパワーワード

2020年6月から改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が施行

いまだに一部の企業では、暴言や過大な要求やいやがらせ、さらには暴力などのパワハラが横行しています。こうした状況に対し、2020年6月1日(大企業2020年6月1日・中小企業2022年4月1日)より「パワハラ防止法」(正式名:改正労働施策総合推進法)がいよいよ施行されます。パワハラ防止法は、いままで曖昧だったパワハラを明確に定義し、具体的な防止措置を企業に求めるものです。管理職の皆様には正しい知識を持って、指導にあたっていただきたいと思います。

パワハラと指導の違い

パワハラは、

  1. 身体的な攻撃
  2. 精神的な攻撃
  3. 人間関係からの切り離し
  4. 過大な要求
  5. 過小な要求
  6. 個の侵害

の6つに分類されています。

特に②の精神的な攻撃については、部下を指導しなければならない管理職としては、どこからがパワハラでどこまでが指導の範囲なのか悩まれているかと思います。

パワハラと指導の違いについて、弁護士に見解を仰いだところ、この2点が判断基準になるようです。

  1. 社会通念上許容される限度を逸脱し、相手方の人格権を侵害する違法性を有する行為と言えるかどうか。
  2. 行為の態様、程度、目的、注意・指導の場所、時刻等に照らして、総合的に判断される。

やはり明快な境界はないからこそ、管理職としては中々対応が難しいところでしょう。

指導しない、放置ハラスメント?

こうしたことから、指導リスクが増大し、パワハラ過敏症のような状態になってしまっている組織や管理職が増えているように思います。

確かに、ちょっときつく指摘すれば、やれパワハラだ、といわれてしまう。社会的にもそういう風潮は高まりました。

職場のパワハラは確かに無くさないといけません。

ですが、管理職がリスクを恐れて何も指導をしなくなってしまうのも、組織として健全ではありません。

そのうち「あの上司は私のことを指導してくれず、放置ハラスメントですか…?」なんてことを言われることが出ないとも限りません。

ですので、弊社では、「指導にはリスクを伴う。パワハラにおける正しい知識も知っておかなければならないが、ぜひ勇気をもって指導は行って頂きたい。」と言うようにしています。

上司部下間の信頼関係が重要なポイント

ポイントは、言うまでもなく「上司部下間の信頼関係」です。

信頼関係が築けていれば、部下も指導として受け止めてくれる。

しかし、信頼関係が築けていなければ、どんな指導も嫌味に聞こえ、それが続くとパワハラと受け止められてしまう。

信頼関係があるかないかは重要なポイントでしょう。

昨年、体操の宮川紗江選手と速見コーチのパワハラ騒動がありました。

この騒動のなかで、身体的暴力は振るわれたのは事実だが、宮川選手はパワハラだと思っていないと述べていました。

この二人の間には信頼関係はあったのだと思います。

ハラスメントという言葉はパワーワードです。

何かにつけてハラスメントと言われてしまえば、もう言えなくなってしまうような力がこの言葉にはあります。

パワハラは確かに無くさなければなりませんが、管理職には信頼関係をはぐくみ、勇気を持って指導にあたってほしいと思います。