新卒学生に求める「主体性」について考える
2019年10月21日付のコラムで「新卒学生に求めるコミュニケーション力について考える」という内容を掲載いたしました。このコミュニケーション力という言葉は抽象的で、明確な定義をしている企業の方が少ないようです。
この言葉と並んで抽象的かつわかりにくいのが「主体性」ではないでしょうか。よく採用の現場では「主体性のある人がほしい」と、先のコミュニケーション力と並んでよく聞かれるようです。
学生に求める資質のトップが「主体性」
日本経団連が2017年12月8日〜2018年2月8日の間で、製造業443社に実施した「高等教育に関するアンケート」によれば、学生に求める資質、能力、知識で「主体性」がトップでした。多くの企業が「主体性」を持っている学生を求めていることがわかります。
この「主体性」、辞書で調べるとこんな定義がなされています。
自分の意志・判断によって,みずから責任をもって行動する態度や性質。
また、経済産業省が提唱する「社会人基礎力3つの能力12の能力要素」のひとつに含まれております。この社会人基礎力の中にある「主体性」とは、物事に進んで取り組む力という定義がなされています。
もう少し、具体的に見ていくことにいたしましょう。
人材開発コンサルタントの山崎紅氏によれば、社会人基礎力にある「主体性」を以下のように解説しています。
主体性とは、「物事に進んで取り組む力」。自ら考えて行動する、自分の行動に責任を持つ(山崎紅著『求められる人材になるための社会人基礎力講座[第2版]』、日経BP社より)
さらに、山崎氏は、自ら考えて行動する、自分の行動に責任を持つについて、以下のように解説を加えております。
「自ら考え行動する」とは、仕事の目的を理解し、自分で目標を設定し、目標を達成するために何をしたらよいか自分で考え、自分から率先して行動に移すことです。
自分で考えて行動するからには、その行動の結果に責任を持ちます。自責で考える、最後までやり抜く、という心構えで取り組みます。(山崎紅著『求められる人材になるための社会人基礎力講座[第2版]』、日経BP社より)
実はないものねだり?
上記の内容から読み解くと、「主体性」とは、
①指示を待たず、自ら率先して物事に取り組む
②自ら考えて行動するという独自性
③任されたら最後までやり抜く(話題の「グリッド」に近い?)
のような気がいたします。
してみると、それらの要素を(すべて)持ち合わせている学生はどれだけいるのでしょうか。聞こえのいい言葉で、かつ様々な角度から解釈できるので、そこに逃げてしまっているきらいもあるのかもしれません。
また、「自分たちも難しいのに、こんなことを学生に求めても無理が生ずるのでは?できるわけないのではないか。ないものねだりでは」という声も出てくるでしょう。自分たちにないものなので、だからこそ新卒に求めて新しい風を吹かせてほしいというのはあるでしょうが…。
そう、この「主体性」という言葉も、それぞれの企業で定義しておく必要があるのではないでしょうか。そうすることで、より採用要件に合った学生を採用することにもつながっていくと思うのです。
本日もお読みいただきありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。