1ミリも活用されないサーベイフィードバックとならないための、たったひとつのコツとは?
「あっそ、へー、ほー、はー、ふーん」で終わるサーベイ
定期的に、自分の組織・職場・チームに対して、サーベイ(組織調査)を行い、その職場の課題を「見える化」し、対話しつつ、組織の課題解決を行っていくことを「サーベイフィードバック」といいます。多くのサーベイでは、質問紙調査が行われることが一般的です。
HRテックの台頭、コロナ禍によるリモートワークの普及によって、組織調査は、多くの企業・組織で広がりを見せています。
この手法自体は、1960年代ー1970年代から行われている古典的手法ですが、現在の日本では、第二の流行期に入っている、といっても過言ではないと思います。
サーベイフィードバックは、従来は「紙」の質問紙調査をまき、それを集計し、分析するといった、莫大なコストがともなうものだったのでした。
しかし、ITの普及は、それらのコストを格段に減らしました。
その気になれば、週の頭に実施し、週末には結果をフィードバックすることが可能になっています。
イメージできないものは、マネージできない
とは、いにしえからある名言です。適切にマネジメントが行われるためには、自分の組織・職場・チームの「現状」や、時間的推移にまつわる変化が「見える化(イメージ)」されていなければならない。
自分の組織の「見える化」を行う試みは、かくして、広がりを見せていると実感します。
しかし、この60年で、サーベイフィードバックにまつわるコストは、格段に減少しましたが、「サーベイフィードバックにつきまとう課題」はまったく解決されないまま残されているようにも感じます。
最大の課題は「フィードバックの機能不全」です。
要するに、サーベイを行ったはいいものの、その結果が、現場にめっこりとフィードバック(通知)されないケースがあとをたたないのです。
具体的には、下記のような病が、日本全国8万9000カ所で生まれているのです。みなさんの会社・組織ではいかがでしょうか?
1.データをとったはいいものの放置病
・データは取得したが、人事・経営者がみて終わり
当然、ノーアクション!
2.イントラ回覧・無風病
・調査結果は、イントラにあげられて終わり、見といてね、とは言われるものの、誰も見ない。
当然、ノーアクション!
3.管理職の引き出しのなかにしまわれ病
・データはフィードバックされるもののめんどくさいので、管理職が机の奥底にしまって終わり。ノーアクション!
サーベイフィードバックの眼目は「サーベイを行うこと」ではなく、むしろ「現場に結果をフィードバック」を行うことです。
だってそうですよね。
サーベイ君が、テクテク歩き出して、現場を変えてくれるわけではないのです。サーベイ君の数字が、ヒョコヒョコ歩いて、現場を改善してくれるわけではありません。
現場を改善し、変えることができるのは、「現場にいるひとびと」であり、彼らが、対話し、結果を意味づけ、アクションをとったときだけです。
当然のことながら、フィードバックが機能不全に陥っている組織では、ねらっている効果は得られません。
サーベイフィードバックで求められることは、
1.自分たちの生活世界に「近い」データを用いて
2.同じ生活世界で「ともに仕事をしているひとびと」が
3.結果を対話しつつ
4.自分たちの生活世界を自ら改善すること
です。
せっかくコストをかけて、サーベイフィードバックを実践するのですから、現場・経営にインパクトを残せるサーベイにしたいものです。