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2019.10.21 COLUMN

「世界標準」の採用=学業重視?

学生時代に手に取った、ある一冊の本のことを思い出しました。『世界標準で生きられますか』(竹中平蔵、阿川弘之著。徳間文庫刊)。私の学生時代は、まさに「小泉構造改革」真っ只中。その構造改革の旗振り役が、他ならぬ竹中平蔵氏でした。小泉・竹中氏を恨むわけではありませんが、就職は、1社内定を取るのにやっと…という状態でした。

あれから15年余。今はどうでしょうか。「団塊の世代」が一斉に退職し、学生優位の「売り手市場」となりました。企業は「我先に」といわんばかりに、優秀な人材の獲得競争に動いております。そこで今回は、優秀な人材の確保のための「世界標準」の採用について考えていくことにいたします。

「世界標準」=英米標準?

「小泉構造改革」以来でしょうか。グローバルスタンダードという言葉を耳にするようになったのは。和訳すると「世界標準」ということになり、辞書を引くとこのような定義がなされています。

① 金融システムや経営システムなどにおいて,国際的に共通している理念やルールのこと。

② 工業製品などの国際標準規格。

金融や経営システムは、世界標準のものが随所に導入されているようです。詳しい中身についての言及は避けますが、ざっくりいうと、アメリカ、イギリスが基準やルールをつくっているようです。

もしかしたら、採用の現場にも「世界標準」が訪れるかもしれません。そして、「世界基準の採用活動を行う日本企業が成長する」という向きもあるようです。

では、採用の現場における「世界標準」とは何なのでしょうか。

株式会社ランプライターコンサルティングの篠原竜一社長は、こう述べています。

「世界標準」の採用=学業重視

アメリカ企業の採用では、学生の学校の成績を重視します。成績が悪いと書類選考で落とされてしまいます。

なぜなのでしょうか?

企業が大学の教育を信頼しているからです。アメリカでは、一生懸命勉強し、良い成績を収め、自分が情熱を傾けられることに取り組んできた学生が好まれます。だからアメリカのボーディングスクール生、大学生は、一生懸命勉強します。(2019年10月13日付幻冬舎GOLD ONLINEの記事より)

巷間言われるところの、「アメリカの大学が、入るのは比較的易しく、出るのは難しい」と言われる所以でしょうか。このあたり、日本の大学とは異なるようです。

また、先の篠原氏はこうも述べています。

アメリカの大学生は、授業の課題に取組むために4年間、毎日、情報収集→仮説・検証→分析→判断→決断、という自分の頭を使って考える訓練を行います。その結果、自分の頭で考えて、それを適切に表現する力が鍛えられていきます。まさに昨今の日本の企業が探している人材ではないでしょうか?(2019年10月13日付幻冬舎GOLD ONLINEの記事より)

なるほど、大手企業が海外の大学(とりわけアメリカ、イギリス)で学んだ学生を欲するのも、合点がいきます。そういう人材は、日本国内を探してもなかなかいない、むしろ海外に出てしまっているということなのでしょうか。私の小中学校の同級生で、東京大学を出て、MIT(マサチューセッツ工科大学)に行った、超優秀な男性をひとり知っていますが、まさにそういうことなのかもしれません。

とはいえ、ないものねだりもいいところです。では、中小企業の皆さまが、どういう人材を見つけて採用につながていけばいいのでしょうか。それこそ、先の篠原氏の言葉にヒントが隠されているような気がするのです。

課題発見・仮説検証・プレゼン力

学業、部活動、アルバイトでも何でもいいので、自ら課題を発見し、仮説検証を繰り返し、何かを成し遂げた人は、採用に値するのではないでしょうか。もちろん、程度の差こそあれど、それらを面接選考の中で、じっくり掘り下げて聞くとよいと思います。コミュニケーション力・プレゼン力は、それこそ話してみればわかりますから。

個人的には、学業を重視して聞くとよいと考えますが、部活動やアルバイトの経験まで広げて聞いてみるのが現実的であると言えましょう。

今週もお読みいただきありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。