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2019.10.15 COLUMN

新卒学生に求めるコミュニケーション能力について考える

10月半ばに入りましたが、少々蒸し暑い日が続いております。意外と秋は短いもので、そうこうしているうちに、冬になります。ことしは暖冬とのことですが、果たしてどうなるのでしょうか。

さて、日本経団連が毎年取っている「新卒採用に関するアンケート調査結果」によれば、選考にあたって特に重視した点の第1位は、コミュニケーション能力です。これは16年連続だそうです。

私が就活生だったころ、猫も杓子も企業の採用担当者が「コミュニケーション能力のある人がほしい」と述べていたことを思い出します。当然、明確な定義のない抽象的な言葉ですので、「コミュニケーション能力って何?」とモヤモヤするわけです。今回は、新卒学生に求めるコミュニケーション能力について考えていくことにいたします。

学生が思う「コミュ力」は、お笑い芸人が基準?

お笑い芸人が異性からよくモテるという話をよく聞きます。彼らは、その場の状況に応じて相手を笑わせるようなことを言い、相手の良さを引き出して心地よい空間をつくる術に長けているようです。

また、お笑い芸人の中には、番組で司会を務め、そうした場を回していくのが上手い人もいます。彼らを見て、空気を読んで場を回していける人=コミュニケーション能力の高い人と捉えている向きは、多いと聞きます。私どもが運営する「就勝ゼミナール」の学生にも、こうしたことを口にする学生、意外といました。

しかしながら、ビジネスの場面で求められるコミュニケーション能力は、果たしてこのような能力なのでしょうか。少々、否、かなり異なるような気がするのです。

大阪大学の川嶋太津夫教授は、以下のように述べております。

意外と大事な「書く力」

企業が求めるのは相手の話をきちんと聞き、それに対する自分の考えを示しながら論理的に話し合う力だからです。そして、きちんと話す力同様に、コミュニケーション能力の中核として企業が重視するのは、「文章を書く力」です。依頼や報告、連絡など、あらゆる仕事は「きちんと書く能力」を必要とするからです。

(2018年5月24日付朝日新聞デジタルより)

採用試験において、読む・書く力は、筆記試験で見ることができ、話す力は、面接で見ることができます。面接は、選考の階層毎で、グループディスカッション、集団面接、個別面接という形式を取ることで、どんな能力を持っているのかを図ることができます。

学生の「書く力」は低下している

特に、学生の書く力は、低下しているように感じられます。

SNSの普及で、文章を書く機会そのものは増え、短文を書くのは比較的得意なのかもしれません。最近は、絵文字やスタンプだけでやり取りを済ませる向きもあるようです。

しかしながら、いわゆる履歴書・エントリーシートといった応募書類、作文、小論文試験などでは、論理的にまとまった文章を書く必要があります。そのようなものを目の前にしたときに、途端に手が止まってしまう学生は少なくありません。

また、実際のビジネスシーンでは、メール、報告書、企画書など、書く機会は、思いのほかたくさんあります。コミュニケーション能力=話す力という見方や捉え方が支配的な中、「書く力」も同じように大事なのではないでしょうか。

コミュニケーション能力は、とても抽象的なことばなので、様々な定義や捉え方ができます。いわば玉虫色のことばですね。だからこそ、貴社が学生に求めるコミュニケーション能力を再度定義しておくと、採用要件の設計もうまくいき、より成果を出してくれる人材の採用につながっていくのではないでしょうか。

本日もお読みいただきありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。