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2019.09.17 COLUMN

採用要件は緩めてもよい!?

2021年卒向け夏季インターンシップが終了し、これから秋季、冬季のインターンシップ、そして本採用の準備へと、採用担当者の皆さまにとっては、年中慌ただしく過ごしているというのが正直なところではないでしょうか。

ここ数年、人手不足という言葉をよく耳にします。私が就職活動をしていた2000年代前半では、まったく考えられないようなことで、もはや隔世の感すらあります。いわゆる団塊の世代が大量に退職することに伴う要素が大きいでしょう。

よく、組織運営に必要なのは、「ヒト・カネ・モノ」の3要素だと言われております。昨今問題になっているのは、その中でもヒトが足りない、すなわち先の3要素のひとつが欠けているということです。ヒトが足りないとなると、組織運営や事業の継続に影響が出てきます。

では、人手不足を解消するには、どうすればよいのでしょうか?そのひとつの方法としては、採用要件を緩めるというのがあります。入試に例えていうと、ボーダーラインを下げて、入学者の数を確保するという理屈と同じです。

どこに基準を置くか

たしかに、目先の人手不足を解消するということを基準にするなら、採用要件を緩めて頭数を確保するというのは、必要なことなのかもしれません。

ただ、それで質を担保でき、将来的な貴社の成長につながるのかと言われれば、少々首を傾げたくなります。言い方は悪いですが、採用を長期的な自社の成長につなげるという基準で考えた場合、少々姑息な手段という見方もできましょう。

私の知人で、名前を出せば誰もが知る大手電機メーカーの人事をやっていた女性がいます。彼女は「『売り手市場』で採用基準を少し下げたがために、例年よりも質の低い学生が入ってきてちょっと困っている」と述べていました。

誰もが知る大手企業なので、採用人数もそれなりに多く、当然質の高い学生も集まります。例年よりも質の低い学生が入ってきたところで、大勢に影響はないかもかれませんが、「なんであの学生を採用したんだ?」ということになりかねないかもしれません。

また、長い目で見た場合、貴社の成長にとって、必ずしもプラスに働くとは限らないでしょう。

成果を出しているのは誰か?

企業が存続していくために、最も大事なことは何でしょうか?それは、利益を出していくことです。利益が出なければ、企業は存続しませんし、ましてや従業員に給料を支払うことができません。

それでは、その利益を出しているのは、一体誰でしょうか?その企業で働き、企業の構成員たる従業員です。その従業員の成果貢献があってはじめて、会社は成長し、存続していくのです。

その従業員を採用する基準(=採用要件)を下げるとなると、どうなるでしょうか。おそらく貴社の成長に貢献してくれる社員の割合が低くなり、お客様に提供するサービスも低下するということにもつながっていくのではないでしょうか。これはレストランに例えていうと、そこまで腕の利かない料理人を揃えたがために、少々まずい料理をお客様に提供する、その結果、お客が離れていくということになるでしょう。その後の末路は、想像に難くありません。

もちろん、若干採用する基準を緩めて、そこからしっかり育成していくという仕組みやプログラムが完成されているのなら、それはそれでよいことなのかもしれませんが、中小企業の皆さまにとっては、なかなかそうはいっていないというのが実情でありましょう。

したがって、人手不足にあっても、採用要件を緩めるということは、避けていただいた方が、長い目で見るとよいのではないかと考えます。

今週もお読みいただきありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。