新卒学生に伝えたいたったひとつのこと
博多祇園山笠が終わりました。例年ですと、これが終わるといよいよ夏本番…となるところですが、ことしは梅雨入りが遅かったため、それに伴って梅雨明けも後ろにずれ込むことになりそうです。
さて、2020年卒の新卒採用が、終盤戦に差し掛かってきました。既に2021年卒採用を見据えているという採用担当者の方も多いのではないでしょうか。「売り手市場」による人材獲得難にあえぐ企業が多い中にあっても、基準を下げてまで人材を採用したいという企業は、少ないかもしれません。
そこで、採用担当者の皆さんに、ひとつだけ学生さんに伝えておいていただきたいことがあります。それは、「素直でいい人」を歓迎するということです。
何を今さら…という声が聞こえてきそうですが、案外これが重要な要素だったりするのです。少し詳しく見ていきましょう。
素直でいい人=従順な人、ではない
素直でいい人と聞くと、上司の言うことを「はいはい」と聞いて、言われたことをきちんとやってくれる人というのが、一般的なイメージではないかと思います。ところが、こういう考えもあるようなのです。
学生に人気の高い、サイバーエージェント社の曽山哲人取締役(人事統括)は、このように述べています。
「当社で言う『素直』とは、従順とは違います。上司からこれをやってと言われて何も考えずに従うということではない。人に対してではなく、上司の助言の内容や現実に起きている現象を受け止められるか。例えばインスタグラムというサービスが出始めたときに、『インスタなんて流行しない』と言ってしまう人ではなく、『伸びるかもしれない』と思える人です。変化対応力ともいえますね」(2018年8月15日付NIKKEI STYLE)
一旦立ち止まって考えて、目の前の事象をありのままの状態で受け止めて、自分なりの考えを持ち、変化に対応していく。これが「素直でいい人」ということがいえると思います。
もちろん、人間的な部分も重要でしょう。
人としての基本も大切
私が学生時代に読んだ、朝日新聞に載っていたフジテレビジョンの村上光一社長(当時)のインタビューを思い出しました。たしかこのようなことが書いてあったように記憶しています。
「テレビ局というと、華やかなイメージがありますが、実は当社が求めるのは真面目で素直な人です。きちんと挨拶ができるかとか、目の前にゴミが落ちていたら拾えるかとか」
「楽しくなければテレビじゃない」を地でゆく、テレビ局の中でもとりわけ華やかなイメージのあるフジテレビのトップが、こういうことを述べるとは、少々驚きました。
このように、「素直でいい人」というのは、各社それぞれの定義があるようです。とても抽象的な言葉ですが、「素直でいい人」というのは、誰もが採用したくなるところでしょう。
あとは、自社にとっての素直でいい人をきちんと定義づけておく。そして、例えば「TOEICのスコア◯点」とか「学生時代に100人もの人数を率いて何かをやってきた」人を求むということよりも、むしろ、先のような「素直でいい人」を求むということ。このことが大事ではないでしょうか。先に紹介した、サイバーエージェント社では、離職率も減っているそうです。
今週もお読みいただき、ありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。