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2019.07.22 COLUMN

「白紙一枚」で学生の表現力と熱意を見る

学生優位の「売り手市場」が続いている中にあっても、優秀で熱意にあふれた人材を採用したいという採用担当者の願いは、いつの時代でも変わりません。そこで、学生の熱意を測るために、おすすめしたいツールのひとつが、白紙一枚のエントリーシートです。特に大手企業やマスコミなどの人気企業で、導入が進んでいます。

文章力が落ちている学生たち

「就勝ゼミナール」の学生たちが書く、履歴書やエントリーシートを見ていると、残念ながらここ数年の間で文章力が落ちていることに気づきます。我々も含めてそうなのですが、公教育の中で、きちんとした文章を書く教育を受けていないということもあるでしょう。そして、さらに考えられるのは、写真やスタンプだけで会話が成立してしまうSNSの普及です。

例えば、うれしいとか悲しいといった気持ちを表す言葉を写真やスタンプで表現するといったことがあります。そこに言葉は介在しません。当然、自分の意見や考えを言語化して表現するといったことを苦手にしてしまうのです。

メール、報告書、企画書…たとえ、先のようなSNSが普及したとしても、ビジネスの場面において書く機会というのは、思いのほか多いのではないでしょうか。ビジネスの”基礎体力”を見るという面で、こうした白紙一枚のエントリーシートを導入するのは、有効な策といえるでしょう。

裏の目的は、ハードルを上げて優秀な学生を採用すること

映像やコンテンツの制作を手がける、株式会社ハクシは、採用ホームページの中で、白紙一枚のエントリーシートを導入した理由についてこのように述べています。

「エントリーシートや履歴書を使わずに、もっと気楽に自分自身のことを紙に広げてもらおう」という提案から、白紙採用が生まれました。

この採用は、まっさらな状態で人と会社が出会える場となります。
我々ハクシの仲間として、ものづくりに励みたいという方のエントリーをお待ちしております。

無から有を生み出す必要のある企業にとっては、まさに採用要件に合った選考形態だといえるでしょう。

それ以上に私は、応募の際のハードルを上げることにあると考えております。

私が就活生だったころに、某放送局の書類選考で「白紙のA4用紙を使って、自分自身を自由に表現してください」といったエントリーシートを書いたことがあります。当時、これを見た私は、相当面食らったことを今でも覚えております。私はどうにか書き上げましたが、周りには音を上げてしまい、エントリーを諦めた人もいました。

放送局といえば、いつの時代も応募者が殺到し、何百倍、何千倍という倍率になることは珍しくありません。応募書類の時点で、このような難易度の高いエントリーシートを設定することは、より熱意のある学生を選び出すという観点においても有効だと考えます。そこまで難易度の高いエントリーシートを書いてくるというのは、よほどの熱意がなければできないことです。ある意味、採用の目的は、採用要件に合った優秀な人材を選び出すことにあるわけですから。

今週もお読みいただき、ありがとうございました。来週もお目にかかりましょう。