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2019.05.07 BLOG

実はお得?な新卒一括採用

史上初の10連休、そして平成から令和の時代へと移りました。連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。少しずつネジを巻き直して、”社会復帰”をはかってまいりましょう。

先日、新卒一括採用がなくなり、通年採用に移行するという報道が大きくなされました。当コラムでも、度々このことには触れてきましたが、実は新卒一括採用が日本人に合っていると考える向きもあるようです。

早期戦力採用が日本に合っている

通年採用は、どちらかといえば、入社してすぐに成果を出せる(優秀な)人物を採用する即戦力採用の色合いが濃いようです。野球で例えると、高校時代から甲子園で活躍し、すぐにプロの世界でも活躍できそうな即戦力を採用する感じでしょうか。これは、早くから自分の個性や適性を見極め、その能力を伸ばしていく教育を施す欧米社会で適しているかたちといえましょう。

一方、日本の新卒一括採用は、早期戦力採用です。早期戦力採用とは、入社後にできるだけ早く成果を出せる人物を採用することをいいます。JR東日本のように、ポテンシャル採用という言い方をする企業もあります。大学や専門学校で学んだこととは関係なく、入社後の教育と様々業務を経験させるジョブローテーションによって育成し、一人前の戦力として育てていくようなかたちです。わかりやすいのが総合職採用で、営業、事務、人事などが業務内容に含まれます。

様々な業務を経験しているがために部署間の調整が容易になり、そのかわりに終身雇用なので、安定を好む日本人には合っているといえるのかもしれません。

引き抜き”のリスクが少ない?

このご時世、人材不足に悩む企業は多いものです。せっかくコストをかけて採用した人材が、他社に引き抜かれて流失してしまったら、たまったものではないでしょう。

欧米の通年採用・即戦力採用は、得てして職種別・職能別採用であることが多いと聞きます。例えば、プロのサッカー選手が、活躍の場を求めたり、高い年俸を求めて他の球団に移籍するのと同じようなことが、しばしば起きているそうです。これは、企業側にしてみれば、人材流失のリスクを常に孕んでいるということもいえると思います。そういう意味では、通年採用・即戦力採用は、手放しで歓迎できないかもしれません。

農耕民族の日本人、遊牧民族の外国人

学生時代に使っていた、ある現代文の学習参考書に載っていた評論文に、こんなくだりがあったことを思い出しました。

「日本人は農耕民族で、基本的にその土地で定着して暮らす。枕草子では、固定した場所での季節が移ろいゆくさまをしたためている。一方、外国人は、遊牧民族で常に住む場所が変わり、変化に適応しながら生きている」

うろ覚えで恐縮ですが、こうした民族性からも、新卒一括採用・終身雇用が日本人には合っているといえるのかもしれません。

通年採用に少しずつ舵を切っていくでしょうが、いきなりそこには切り替わらないような気がしています。通年採用にしてみたものの、かえって新卒一括採用の方にメリットを感じて、そちらに戻すという企業も出てくる可能性もあるでしょう。

今週もお読みいただきましてありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。