コラム / ブログ
COLUMN & BLOG

2019.04.22 COLUMN

学生が会社説明会で聞きたい「たったひとつのこと」

2020年卒の新卒採用戦線がそろそろ佳境を迎える時期に差し掛かってきましたが、これから会社説明会を実施するという企業の方もいらっしゃることでしょう。今回はそうした企業の採用担当者の方に、学生が会社説明会で聞きたい「たったひとつのこと」について、述べていくことにいたします。

今回は、結論からズバッといきましょう。

それは、「企業人としてではなく、そこでしか聞けない社員個人の就業観」です。

たいていの情報はウェブサイトでわかる?

特に大手企業の採用ページや就職ナビサイトは、かなり内容が充実しています。会社概要、事業内容から実際に働く社員の声や福利厚生までが網羅されているといってよいでしょう。動画が主流になりつつある世の中ですので、私が就職活動を行っていた十数年前に比べれば、動画の量も増えてきたのではないかと感じます。

では、なぜわざわざ会社説明会に足を運ぶのでしょうか。

もちろん、説明会への出席が、選考につながるという向きも大きいでしょう。「(説明会への出席の有無が)選考とは直接関係ありません」という文言を、真に受けている学生は、ほとんどいないといってもよいと思います。

では、なぜ、これだけの情報が充実しているのに、わざわざ交通費と時間を割いてまで会社説明会に足を運ぶのでしょうか。それは、「企業人としてではなく、そこでしか聞けない社員個人の就業観を聞きたい」からではないでしょうか。

採用コンサルタントの谷出正直氏は、平成31年3月20日付日本経済新聞電子版の中で、こう述べています。

「学生は企業人としてではなく、社員個人の就業観を聞きたいと思っている。企業は感情や熱意が伝わるような内容を打ち出すことが大切だ」

これは、人はなぜ東京ディズニーランドに行くのか?という理屈にあてはめて考えてみるとわかりやすいかもしれません。

会社説明会=ディズニーランド?

千葉県浦安市にある東京ディズニーランド。もはや説明不要なくらい、有名なテーマパークのひとつでしょう。多くの方が、何かしらのかたちで足を運んだことがある施設ではないでしょうか。

私の友人・知人の中でも、もちろん東京ディズニーランドに足を運んだことのある人は多数おります。学生時代、ある時に「なぜ東京ディズニーランドに行くのだろうね?」という質問を、彼氏・彼女持ちの友人に投げかけたところ、こんな答えを返してくれた人がいました。

「そこでしかできない体験が味わえるから」

当時、彼女がいなかった私は、「くぅ〜、ディズニーランドにいっしょに行く相手がいて、楽しい感情を共有できる相手がいてうらやましいなー」という、ある意味嫉妬に似た感情が勝っていましたが、今にして思えば、たしかにそうだな、と納得した次第です。

してみると、会社説明会に行くのも「そこでしか聞けない情報があるから」ではないでしょうか。学生の立場からすると、「そこでしか聞けない『ぶっちゃけトーク』を聞きたいから」ではないでしょうか。

先の採用コンサルタントの谷出正直氏は、こうも述べています。

「自社に限らない話も実はポイントが高い」

「会社説明会であっても自社の話にとどまらず、例えば就活の進め方に関する全般的な助言など、学生に役立つ内容が含まれると好印象」

(2019年3月20日付日本経済新聞電子版)

逆にいうと、採用ページの内容をそのままなぞったような、テンプレートどおりの説明会だと、学生の満足度を下げてしまいかねないでしょう。

会社説明会という場に、東京ディズニーランドのようなアトラクションの要素を求めるのは、さすがに困難ですが、「そこでしか聞けない情報を提供する」くらいの取り組みはあってもいいのではないでしょうか。是非、会社説明会の時点で学生の満足度を高め、貴社の母集団形成に役立ててみてはいかがでしょうか。

今週もお読みいただき、ありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。