採用にマーケティングの視点を!〜奈良県生駒市役所の採用に学ぶ〜
今は人手不足の世の中で、外国人材の活用も議論される時代です。昨年末に、出入国管理法が改正され、まさに「猫の手も借りたい」といったところでしょうか。この人手不足、公務員とて例外ではないようです。
公務員も人手不足の時代
公務員は、今でも安定志向の学生に根強い人気を誇りますが、「売り手市場」の影響で、内定辞退が相次いでいると聞きます。2018年2月8日付の産経ニュースによれば、北海道庁は内定者の6割が辞退するという事態になっているそうです。
一頃では考えられないような話かもしれませんが、公務員も人手不足の時代になってきています。
そのような中、応募者数を4倍に伸ばした地方自治体があるそうです。それは、奈良県生駒市。今回は、奈良県生駒市の採用手法から、どうすれば応募学生の母集団を増やすことができるのか?について、学んでいくことにいたしましょう。
筆記試験は民間と同じものに
公務員の採用試験といえば、筆記試験の難易度が高いことで知られています。いわゆる一般教養と小論文で構成され、ここで相当数の応募者がふるいにかけられます。奈良県生駒市では、こうした筆記試験を廃止し、SPIを導入。民間企業を志望する学生にも受験の門戸を広げたことで、応募者数が劇的に増えました。
ちなみに、福岡市のベッドタウンである福岡県春日市の採用試験も、採用試験を民間と同じやり方に切り替えました。筆記試験をSPIにしたところ、応募者数が2倍に増え、優秀な人材が採れるようになってきたそうです。
すべての説明会に市長自ら出席
先んずれば人を制すというのは、採用活動にもあてはまるのでしょうか。なんと、生駒市では、全国でも最も早い4月1日から募集を開始し、すべての(会社)説明会に市長みずから出席しているそうです。各大学だけではなく、公務員予備校などにも出向いており、質・量ともに充実されているとのこと。これは公務員だけではなく、民間企業でもあまり例がないかもしれません。
市長は、民間企業でいえば社長です。その市長自ら説明会に行くことで、いい人材を早めに見いだせるというメリットがあるといえるでしょう。このあたりについては、2018年10月29日付のコラムでも触れておりますので、併せてご一読ください。
マーケティングの視点を入れて応募者数が4倍に
ただ、これだけではなかなか自社を受けてくれる応募学生を増やすことは難しいのが現実です。やはり、いかに応募学生に自社への興味を持ってもらい、「ひとつ応募してみようか」「ちょっと話だけでも聞きに行ってみようか」と思ってもらうことが必要です。
そこで、生駒市ではマーケティングやプロモーションの要素を取り入れたそうです。
ある企業の経営者で、MBAの資格をお持ちの方から聞いた話ですが、マーケティングとは、勝手に売れる仕組みをつくること。それを採用活動にあてはめて考えますと、勝手に応募してくれる仕組みをつくることであるといえるでしょう。
そこで生駒市では、まず、採用のポスターを目を引くようなデザインにしたそうです。次に、採用ホームページでは、動画を取り入れて、仕事内容や若手社員の活躍ぶりが伝わるようなものにしたり、市長自ら「生駒市には安定ではなく成長の機会がある」「生駒市を辞めても食べていけるだけの経験を積むことができる」などのメッセージを発信。その結果、応募者数が大幅に増えたそうです。「ビリギャル」の原作者である坪田信貴さんが「成長の嫌いな人はいない」と述べていたことから、こうしたメッセージは、成長するステージを欲している学生には、刺さることでしょう。
▲写真はイメージです
自社の製品やサービスを売るとき、マーケティングの視点をお持ちの企業は多いと思いますが、採用となると必ずしもそうとは言い切れないかもしれません。どうすれば自社に興味を持ってもらい、いい人材を採っていくか。採用にマーケティングの視点を取り入れると、貴社の採用が劇的に変化します。
今週もお読みいただき、ありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。