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2018.06.25 COLUMN

内定を出した後も、学生からの企業訪問を積極的に受けましょう

6月後半戦。こちら福岡では、博多祇園山笠の準備が着々と進んでおり、夏がすぐそこまでやってきていることを感じます。2019年卒の採用活動が、そろそろフィナーレを迎えるという採用担当者の皆様も、多いのではないでしょうか。

この時期になりますと、複数内定を抱えている学生は、少なくありません。弊社の運営する「就勝ゼミナール」では、2019年卒の学生で9社内定を持っているという学生もいます。過去には、15社(2015年卒)、12社(2017年卒)という強者もいました。こうなると、当然学生は、どこの企業に行こうか悩みはじめます。就職氷河期真っただ中に就職活動をしていた筆者としては、ぜいたくな悩みだと感じずにはいられません。

では、そのような学生は、なぜ悩み、モヤモヤするのでしょうか。背景のひとつにあるのが、「その企業に関する情報が少ない」にあると思われます。

貴社についての情報が少ない=意思決定できない

ここで、複数の企業から内定を獲得し、どの企業に行こうか迷っている「就勝ゼミナール」の学生の声をご紹介しましょう。

「第一志望の会社から内定をもらったんですけど、正直働くイメージが湧かなくて困っています。他の会社からも内定をもらったのですが、まだ迷っています」(福岡大学・大手人材会社内定男子)

「会社説明会に参加できずに選考に臨んだら、内定をいただきました。すごくいい企業だと思うんですけど、今ひとつその企業に関する情報が少なくて、どうしようかと迷っています」(福岡大学・化学系メーカー内定男子)

「結婚、出産しても働きたいと思っていますが、そのあたりがどうなっているのか、もう少し知らないことには意思決定しかねます。女子はそのあたり、けっこう重視しているんじゃないですかね」(中村学園大学・有名食品メーカー内定女子)

やはりその企業についての情報が少ない=入社するかどうか判断できない、意思決定できないということにつながっているのではないでしょうか。特に、会社説明会や座談会に参加できなかった学生ほど、こうした不安の声を口にする傾向が強いようです。

では、どうすれば学生の不安を払拭し、貴社で働くイメージを持っていただき、入社へとつなげていけるのでしょうか。そのヒントは、入社後も学生からの企業訪問を受け付けるということにありそうです。

内定者懇親会や食事会での囲い込みは逆効果のケースも

企業によっては、内定者向けの懇親会や食事会を開くというところも多いと聞きます。その目的は様々だと思いますが、内定者同士や若手社員との人間関係の築き方は、高い関心事のひとつでしょう。

学生によっては、こうした懇親会や食事会に対して警戒心を抱き、かえって冷めてしまうという人も多いようです。「就勝ゼミナール」の学生の声を紹介しましょう。

「内定者向けのバーベキュー大会があり、(福岡から)大阪まで行きました。まだ他の企業の選考も残っている中での参加でしたが、何だか『ウチに来てくれるよね』『ここまでしているから辞退するなんて承知しないぞ』といった匂いをプンプン感じました。ちょっと引いてしまいますよね」(西南学院大学・大手電機メーカー内定男子)

「このあと内定をもらった会社の内定者懇親会(飲み会)に行くんですけど、聞くところでは、この懇親会をきっかけに辞退する人が多いそうです。大丈夫ですかね?」(福岡大学・大手人材会社内定)

「何だか食事付きの懇親会って、ちょっと怖いし、ご飯までごちそうされて行かないとなったら気まずくなってしまいます。そういうことじゃなくて、実際のところはどうなのかを知りたいのに…」(九州産業大学・大手飲料メーカー内定男子)

内定者懇親会や食事会は、「働くにあたってのリアルな部分を伝える場」にしていくことが大切です。

少し具体的に言うと、内定者同士でのコミュニティの形成や、歳の近い若手社員からリアルな話を聞き、働くイメージを描けるかどうかといったことでしょうか。内定者同士、内定者と若手社員との交流の場を設けてやることが、大事だといえます。

ありのままの姿を見せることがかえってプラスに働くことも

少し前に流行った歌の歌詞ではありませんが、貴社のありのままの姿を見せて説明することが、かえって学生の不安を払拭できるのではないでしょうか。もちろんその前に、学生を受け入れるときは、社員に周知しておく必要があるでしょう。社員の対応ひとつで、”風向き”が変わってくることだってありますから。

また、入社意欲を醸成することにもつながってくるはずです。ここで再び「就勝ゼミナール」の学生の声を紹介しましょう。

「懇親会だと、盛り上がってしまって聞けなかったりしますよね。少し無理を言って、懇親会に参加したあとも、会社訪問や先輩訪問をお願いしたら快く対応してくれて安心しました。社員の方もすごくいい方ばかりで、『ぶっちゃけ話』も聞けましたし、いいところも、そうでないところも含めて『この会社でがんばろう』って心から思えました」(九州大学・大手通信会社内定女子)

「インターンシップに参加したり、企業研究、先輩訪問をさせてもらうなどして、その企業へのイメージをふくらませていきましたが、実際に内定をもらうと『見る景色』がちがうといいましょうか、やはりそれはそれで不安を感じるものです。『内定ブルー』というものですかね(笑)。内定をもらった後も、メンター役の先輩社員が時間を作ってくれて、定期的に会うことができ、入社前のギャップがかなり埋まってきたなと感じました」(佐賀大学・有名食品メーカー内定女子)

「内定をもらった後も、社長が定期的にフォローしてくれました。フォローといっても、『何かあったらいつでも会社を見においで。ご飯食べながらゆっくり話でも聞くよ』といったやさしい感じです。実際、社長とお話をしていく中で、風通しのよさを感じることができましたし、『この会社だったら、やれるかもしれない』と思って、入社を決意いたしました」(中村学園大学・食品系企業内定女子)

いかがでしょうか。学生は、できるだけリアルな情報を知って、入社前の不安を和らげようとしていることがわかります。

まだ足を踏み入れたことのないところに行くにあたって、不安に感じるのは、学生も私たちも同じです。意外と忘れてはいけないのは、学生も感情を持ったひとりの人間であり、その不安に寄り添ってあげるという視点なのかもしれません。