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2020.10.15 COLUMN

コロナで変わる働き方と人事制度Vol.04「管理職や役職者をジョブ型にするという選択」

管理職や役職者をジョブ型にするという選択

一つの提案としては、「管理職や役職者はジョブ型にするというのは、有効な方法」だと考えられます。そのポストに期待される役割、成果を明確にし、新たなポストができれば、社内で公募する。

一度役職に就けると、期待された仕事ができなかった場合に外せずに困るという話をよく聞きますが、ジョブ型はポストエントリー制なので、そのポストに見合った成果が出なければ、一度外れてもらうということは可能でしょう(それでも相当ストレスがかかる人事ではありますが)。

ただ、抜擢人事や外部からの登用もしやすくなります。そして何より、今まで以上に企業戦略に応じた組織体制を考えるようになることが大きいでしょう。

管理職・役職者をジョブ型にする場合は、役職共通のジョブディスクリプションを作成するのでは不十分です。営業1課長のジョブディスクリプション、営業2課長のジョブディスクリプション、マーケティング部長のジョブディスクリプションなど、その組織に求められる役割や成果を落とし込む必要がありますので、セクション別です。

そもそも管理職はその管掌業務で求められている成果を出すことが使命ですから、ジョブディスクリプションも作りやすいですし、成果もはっきりします。むしろ、ジョブ「業務」の洗い出しはそれほど力を入れなくてもいいでしょう。業務はやったけど、成果は出ないではいけませんので、成果に目を向けさせるべきです。

すでに管理職や役職者の役割や成果を明確にしている企業もあると思いますが、中堅・中小企業では、あいまいな場合も少なくありません。在宅勤務になったとたんに部下の管理でどうしたらいいかわからなくなった管理職が多数出たという話がありますが、これは普段から自分が責任を負っている成果に対する認識が弱いことの表れとも考えられます。

部下の管理が主たる仕事になってしまっている人は、管理方法が変わって困ってしまうということです。仕事の成果を出すことに責任を負っている人は、「どう管理するか」の前に、「どう成果を出すか」に頭を使います。管理職や役職者が求められている成果があいまいであれば、ジョブ型を取り入れるというのは効果的ではないでしょうか。

ジョブ型雇用の適所適材という新たな視座を採り入れる

批判的な意見を述べてきましたが、ジョブ型雇用の前提である、適所適材という考え方は、やはりこれからの企業経営においてとても重要な考え方になると思います。

ただ、企業が適所適材という考え方を全く入れていないのかというと、そうでもありません。実際には新しいチームの立ち上げや戦略の実行においては、適任者を内外から探すということはしているはずです。

ここに明確に「適所適材」という考え方を意識すると、その仕事に求められる役割、成果、人材要件がより具体化するでしょう。これは、戦略の成果実現可能性の向上や適切な人材の配置に効果が期待できます。

このように、ジョブ型だからどうだとか、メンバーシップ型だからどうだということではなく、従業員の雇用や働き方に新たな視座を採り入れると考え、自社にとってより効果的な人事施策を進めていくことが重要だと思われます。

くれぐれも、「うちはジョブ型じゃないからダメだなぁ」といった思考になりませんように。