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2022.02.02 COLUMN

社員の主体性を高めるために決算書、「見せる」か「見せない」か問題とは。

従業員を雇っている経営者様!決算書を従業員に見せていますか?

見せたくないというお気持ちはよーくわかります。私も財布の中身を他人に見られるのは嫌ですし。

ただし弊社としては、決算書を従業員に開示することをオススメしています。
全部じゃなくてもいいんです。一部だけでも従業員と共有してみてはいかがでしょうか!

従業員へ決算書を見せない理由

多くの経営者様と話をする中で決算書を見せない理由の上位は以下の3つであると

考えています。

1.必要性を感じていない

通常、経営者以外に自社の決算書を見せる相手には

  1. 税務署(税務申告のため・法律で定められているから)
  2. 銀行(融資を受けるため・背に腹は変えられない)
  3. 得意先(取引の条件となっているため・背に腹は変えられない)

があり、これらについて疑問を感じている方は少ないはずです。

かたや従業員。見せたところでなんかいいことあるの?というのが本音ですよね。

2.従業員の不満を招くのではないか

例えば

「役員報酬こんなにもらってるのかよ!」とか
「こんなに利益出てるなら俺らに還元しろよ!」とか

不平不満を誘発してしまうのではないかと心配しているケースです。

3.外部に情報が洩れてしまうのではないか

非上場会社の場合には開示義務が無いので、決算内容を秘匿することができるわけです。これは確かに、会社を上場しないことのメリットの一つと言えます。

従業員に決算書を開示すると、巡り巡ってライバル会社にも内容が知られてしまうのではないか。そんな心配をしている経営者様もいらっしゃいます。

 

なぜ決算書を従業員に開示するか

決算書を従業員に開示することには、確かなメリットがあります。

生産性を意識してもらう

従業員を雇っている経営者が強く意識すべきこと。それは「生産性」です。

簡単にお伝えするならば、インプット(投入量)に対して、どの程度のアウトプット(産出量)を生み出せるかということです。

インプットには

  1. ヒトをあらわす労働力
  2. モノ・カネをあらわす資本

の2つがあります。

一方のアウトプットとは、売上高や付加価値(その企業が独自に創り出した価値)のことをいいます。

生産性は従業員にこそ意識してもらいたい

会社の生産性は決算書に記載されている数字から計算することができ、経営者がこれを意識すべきであることは言うまでもありません。

これをインプットである労働力、つまり従業員自身にも意識してもらおう!ということです。どうせ働いていただくなら、効率よく働いてもらいたいですもんね。

アウトプットを産み出すのは従業員です。経営者が生産性を高めよう高めようと思っているだけでは始まりません。

そこで、従業員自らに生産効率を向上させようとする意識を持ってもらいたいわけです。

経営課題を共有してもらう

決算書を従業員に開示していない会社の経営者が、経営課題について従業員に語る。
こんな状況での従業員の気持ちを率直に代弁すると

ほんまかいな?www

です。
いやこれ、ほんとですよ。なぜなら私自身が一般企業に勤めていた時の感覚そのものだからです。

要は、経営者の語る言葉に数字の裏付けがないわけです。あるとすれば自分の給与金額ぐらいでしょう。だとすれば、従業員にとっての課題は「自分がもっと給与をもらうためにはどうするか」に集約されてしまいます。

強力なリーダーシップを有する経営者であっても、その課題の解決には従業員の協力が不可欠です。協力を取り付けるために、課題の共有はできるようにしておきましょう。

どのように従業員へ決算書を開示するか

最初に申し上げたように、従業員へ決算書を丸裸にすることには抵抗があるものです。
そこで、無理なく開示するための工夫をご提案します。

一人当たりの金額に直す(一人別損益計算書)

決算書に記載されている金額をそのまま開示することに抵抗のある経営者様は多いでしょう。そこでオススメするのは、決算書に記載された各金額を従業員の人数で割って、一人当たりの金額で開示する方法です。

この方法のいいところは以下の通り

  1. 全体の規模感を秘匿できる
  2. 金額に現実味を持たせることができる

特定の項目だけ開示する

見せたくない数字があるなら見せなきゃいいじゃん! そう言うことです。

生産性を従業員に意識してもらうことの重要性は既述の通りです。ならば、生産性に関わる項目(ざっくり言えば粗利益に関わる部分)だけ開示するとか、経営の課題を反映している項目だけ開示するといったことでも、十分に効果は見込めます

これから決算を迎える企業の経営者様や各支店長等の管理責任者の皆様は是非、ご自身の部下に開示してみてはいかがでしょうか