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2020.06.02 COLUMN

年功型賃金は限界? 評価の基準は「仕事」に

海外は仕事内容によって給料が決まる「ジョブ型」だと説明しましたが、このような状況下でジョブ型を適用すれば、異動で仕事内容が変わるごとに給与のベースが変わって大変です。さらに、仕事別に賃金の基準をつくる作業も骨が折れます。その点では「人」ベースでの賃金が組織のフレキシビリティーを確保できる点で相性が良かったのも事実です。しかし時代は変わり、「人」ベースの賃金の限界も露わになってきました。

近年、経団連などが「ジョブ型雇用への転換」の必要性を盛んに提言していますが、これは今に始まったことではありません。終身雇用や年功型の賃金では、グローバル化に対応できないとの危機感はずっと表明されてきました。さらに同じオフィスで常時(物理的にも)仕事ぶりが見えているときと異なり、リモートワークでは仕事の人事評価の仕方にも変化が訪れます。目標設定や評価方法など、特に管理職、経営陣の意識変革が必要です。これを期に、賃金や賞与の制度を変える企業も出てくると考えられます。

 

日本企業がジョブ型に変化すれば、人材市場の流動性は増してくるでしょう。グローバル企業では当たり前ですが、「職能×勤務地」に対して、ほぼ市場価格が決まっています。採用をしようと思うと、少なくともその範囲に入っていない限り選択肢にあがることもありません。よって、ステップアップを考える際にも、内部で昇格を狙うと同時に、社外で同じポジションがとれないかどうかを比較したりします。つまり、同じ職務内容であればどの会社でも給与面では同じなので、それ以外の要素である福利厚生やオフィスの環境、働き方やカルチャーといったソフト面が決め手になることも多いのです。

先に述べた通り、メンバーシップ型雇用では社内でのキャリアや経験が「人」としての評価に入ります。また、終身雇用を前提にしているため市場の相場という外部の指標が入ることが少ないです。よって、全く同じ仕事をしていたとしても、会社によって賃金が全然違うということが起きています。ジョブ型であればそのようなことは起こりません。まさに同一労働同一賃金の世界です。その前提があれば、働く環境や会社のビジョンなどにやりがいを見出し、より気持ちよく実力を発揮できるということが会社選びの基準になるでしょう。そのような時代の変化がすぐそこまできています。新しい時代の中でも企業として成長し続けるためにもぜひ、ご検討ください。