自分が嫉妬する人材を採用する
きょう6月17日現在、九州地方は梅雨入りしておりません。過去三番目に遅い記録だそうなのですが、水不足や農作物への影響が心配されますね…。
さて、どういう人材を採用するかは、採用の現場において最も根源的なテーマです。よく聞かれるのが「一緒に働く仲間としてどうなのか」「仲間として一緒に働きたいかどうか」でしょう。弊社の運営する「就勝ゼミナール」に通う学生で、会社説明会帰りの学生に、「どんな人を求めているような会社だった?」と話を聞くと、こう回答する企業は、思いのほか多かったように感じられます。
「似た者同士」が集まると均質化しやすい
人は似た者同士、価値観が合う人に好感を持ったり、高い評価を持ったりする「類似性効果」があるそうです。例えば、特定の大学の出身者が固まって「学閥」のようなものができたり、◯◯大学の野球部出身者同士などといった「つながり」ができたりといった感じでしょうか。昔、「お友達内閣」という言葉もありました。
これはこれで、スクラムを組んで仕事をするといった場面では、まさに一致団結といったところでパワーを発揮するでしょうが、ややもすると組織が均質化してしまい、同じ方向に引っ張られてしまうという欠点が頭をもたげてきます。
それでよいのでしょうか。ここはあえて、自分より優秀な、嫉妬する人材を採用するといったことを考えてみるのもよいかもしれません。
江副浩正氏の”謹言”と男性の嫉妬
あのリクルート社を創業した、故・江副浩正氏は「自分よりもいいやつを採れ」と言っていたそうです。そうしなければ、組織としての成長は望めないと思っていたのでしょう。事実、リクルートは、名実ともに多くの人が知る大企業になりました。
歴史を振り返ってみると、自分の地位を脅かそうとする人物を登用するのを妨害するといったことはよくあります。
例えば、豊臣秀吉は「軍師」の呼び声高い黒田官兵衛に四国・九州征伐を任せたものの、わずか12万国の豊前国しか与えなかったそうです。これは、豊臣秀吉が黒田官兵衛の活躍ぶりを恐れ、嫉妬したことによるものと言われています。こういう話は、古今東西よくある話で、男性の嫉妬というのは根深いものがあるようですね。
ちなみに、江副浩正氏は東京大学教育学部卒業で、「自分よりもいいやつ」というのは、どれほど優秀な人だったのでしょうか。
組織人材コンサルタントの曽和利光氏は、次のように述べています。
「あん畜生」と思える人物を採用する
極端な言い方に聞こえるかもしれませんが、私は次のように思えることの方が採用担当者にとっては重要な考え方だと思います。
「この候補者は、仲間としての好感度は低い。友人として考えれば嫌いだ。でも、自分とは合わないかもしれないが、会社や仕事には必要な人材であるから採用しよう」
自分の好き嫌いで採用するのではなく、事業や組織の要不要から判断することができるのがプロというものではないでしょうか。(2019年5月19日付キャリコネニュースより)
プロ野球の元監督・野村克也氏も同じようなことを述べていたような気がします。
また、作家の五木寛之氏も著書『人間の関係』の中で「あん畜生と思える人を認める」といった類のことを述べていたはずです。
自分よりも優秀な人が出てきたら、組織にとって必要なら採用するーこれをきょうの結びとしたいと思います。
今週もお読みいただきありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。