あなたの周囲には「出がらし4番茶」のような「うすっぺらい振り返り」が広がっていませんか?
振り返りをする際の3つのポイントとは
振り返りとは、その期間(過去)に起こった出来事を書き、それを自己がいかに認識し、何を考えたのかを書きます。加えて、何をこれから為すのかを考えるのが、振り返りのもっとも重要なところです。
別の言葉でいえば「過去ー現在ー未来」という時間軸における「自己の変容(ないしは変化の可能性)」を解像度高く描くこということです。最初のうちは慣れないかもしれませが、しっかり考えれば、次第に習慣化していきます。
しかし、残念ながら、多くのひとびとは「振り返り」が苦手です。
昨今のビジネスの現場では、これだけ「振り返り」「リフレクション」と言われているのに、おそらく、「振り返り」も、ちゃんと現場で教えられていないのでしょう。
なかには、「うすい振り返り」ともうしましょうか。「出がらし4番茶」のような、ほとんど水のような振り返りも、目にすることがあります。「振り返り」を誤解して、振り返っているケースも少なくありません。
まず、一番、起こるのは
振り返りを「箇条書き・出来事羅列」で終えるケースです。
・あんな出来事Aありました
・こんな出来事Bありました
・そんな出来事Cありました
この出来事・羅列、ならべただけが、振り返りです。
このケースは、特に、ビジネスコミュニケーションにおいて
箇条書きにせい!
要点を延べよ!
ダラダラしゃべるな!
と先輩方から指導されているビジネスパーソンに、とても多いと思います。ここに欠けているのは、「出来事同士がどのような関連にあったのか」ということと「あなた自身が、出来事をどのように意識化・認識したのか」ということです。
といいましょうか・・・
・あんな出来事Aありました
・こんな出来事Bありました
・そんな出来事Cありました
という情報が必要ならば、その場で「カメラ」を回すか、ZOOMで録画しておけばいいのです。それがもっとも「客観的な記録」になります。
そうでははく、今ほしいのは「客観的な情報」ではありません。むしろ「出来事をいかに認識して、何を考えたのか」という「主観」こそが重要になります。
かくして、わたしたちは「振り返り」にまつわる「次の命題」に至ることができます。
それは、 振り返りには「あなた」が必要であるということです。
他人ではない。社会の誰々さんではない。
世の中が・・・すべし、とかいう押しつけがましい話でもない。
他ならぬ、あなた自身が「出来事の渦中」において、何を知覚し、何を考えたのか、これからどうしたいのかを考えなければ、「振り返り」にはなりません。
振り返りには、こうした一連の「わたしの物語」が含まれていなくてはなりません。
さらに一歩踏み込むとすると・・・最後の命題に至ります。
それは
「けんちゃんの絵日記」のような振り返りは、効果が薄いということです。
ここで「けんちゃんの絵日記」とは
・今日は味噌汁飲みました、おいしかったです!
・今日は友達と遊びました、楽しかったです!
・今日は運動会で2位でした、悔しかったです!
のような「出来事ー紋切り型の感情表現」がワンセットになった、小学生が書くような文章です。「おいしかった」「たのしかった」「くやしかった」・・・いえいえ、それも「間違い」ではないのですが、そこから一歩、踏み出して、解像度をあげて、どのような感情をおぼえ、どのような思考をたどったのかを思い出すことが、振り返りの効果を出すコツです。
今日は業務で・・・・なことが起こった。
その渦中のなかで、自分は、何を感じ、何を思っていたのか。
どういう感情を覚えて、どんなジレンマにあったのか。
そして、そのときにどんな行動をしたのか・・・。
これから何をしたいと願うのか。
うれしかった、といっても、どんなうれしさなのか。かなしいといっても、何に悲しみを覚えたのか。感情にもう一歩、アクセスすることが重要です。
とにかく重要なことは「解像度をあげること」です。紙上でもう一度出来事を再体験できるくらいに解像度を高く描ければ、よい振り返りになります。
イメージでいえば・・・
将来の自分が、この文章を読んだとしても「脳裏に同じイメージが浮かぶ」ように書くことが重要です。
俗によくいいますが、イメージできないものは、マネージできないのです
つまりイメージできないものは、将来、ミスを繰り返す
ということです。
たかが振り返り、されど振り返りなのです。
あなたの周りには「出来事羅列・箇条書きの、わたしが含まれない振り返り」があふれていませんか?
そもそも
振り返りは、きちんと現場で教えられていますか?
ぜひ、ご参考にいただけますと幸いです。