コロナで変わる働き方と人事制度Vol.03「リーダーのセンスが問われるジョブ型チーム」
リーダーのセンスが問われるジョブ型チーム
ジョブ型が進むと、従業員は当然ながら自分の“ジョブ”に集中することになります。これが過度に進むと、個別の仕事の出来はいいのだけど、全体としてはバランスを欠く、成果につながっていないということが起きる恐れがあります。
例えば、最高のシャツと最高のパンツと最高のソックスと最高のシューズを組み合わせたら、最高のファッションになるかというと、そうではないですよね。センスが悪ければ、奇抜なファッションになってしまいます。
つまり、リーダーに全体をコーディネートし、成果につなげるセンスがこれまで以上に求められます。こうしたセンスがあるリーダーがどれだけいるでしょうか。いなければ育成していかなければなりませんが、センスの問題なので時間もかかりますし、育てられるかもわかりません。
これはジョブ型に限った話ではなく、どんなチームでもリーダーのコーディネートセンスは不可欠なのですが、ジョブ型になると一人ひとりが部分最適に走ってしまいがちなので、リーダーのコーディネートセンスがより一層必要となるということです。
今の日本企業は傾向としては、「みんなでいい仕事をしよう」というマネジメントの傾向が強く、全体最適を意識させる方向付けが強いですが、ジョブ型になると新たなマネジメントを必要とすると考えておくべきでしょう。
メンバーシップ型でも成果の評価は当然
ところで、「メンバーシップ型では、仕事の意欲とか、勤務態度などで評価されており、評価があいまいだ」という批判があります。確かに、意欲や勤務態度だけで評価されるのは問題だと思いますが、メンバーシップ型だから成果が評価できないわけではありません。また、テレワークだと意欲や勤務態度が評価できないかといえば、これもそうではありません。
メンバーシップ型であろうが、仕事には成果が求められるわけですから、期待される成果を明確にし、その出来栄えを評価することは可能です。また、意欲や勤務態度が重要なコンピテンシーなのであれば、テレワークだとしてもそれを評価すべきでしょう。
例えば、意欲そのものは評価しにくいですが、より行動に落とし込んで、改善提案の数とか、ミーティングでの発言数だとか、誰かが話をしているときの聞き方などとすれば、評価できるのではないでしょうか。
そもそもテレワークになったら、何をしているかわからない社員が出てきたというのは、出勤しての勤務でも何をしていたかよくわかっていない、わかっていたように思っていただけではないでしょうか。テレワークだからジョブ型、という考え方は思考省略の危うさを感じます。
さて、このようにジョブ型に対して批判的に4点述べてきましたが、ジョブ型は難しいから無理だとか、メンバーシップ型のほうが優れているといったことを主張したいというわけではありません。流れに流されず、浮足立たずに、十分考えて自社に合った方法を考えたほうがよいということをお伝えしたかったわけです。
次回は、コロナ禍における人事制度の考え方について1つ「ご提案」をさせていただきます。