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2020.08.07 COLUMN

ミッションとビジョンの違いとは?

Q:ミッションとビジョンの違いは何か?

A:ミッションは変えてはならない使命、ビジョンは変えるべき未来の姿

ここでは組織の目的について考えます。

組織開発とは「組織の効果性を高めることを目的に、行動科学を応用した、組織内のプロセスを変革する、人間尊重的で計画的な取り組み」です。自組織は「何」に向けて効果性を高めていくべきなのでしょうか。

私のコンサルタントとしての経験上、組織の目的について考えるときに、どの企業でも必ず陥る罠があります。
それは、言葉のすれ違いです。ミッション・ビジョン・バリューなど似たような言葉がたくさんあり、しかもその言葉の使い方が人によって異なるため、いったい何の話をしているかがわからなくなってしまうのです。
まずは言葉の定義を揃えると組織開発は格段に進めやすくなります。

ビジョンと戦略は「変えるべきもの」

ビジョンとは「未来のあるべき姿」を言葉にしたものです。戦略とは「現状とビジョンとのギャップを解消するやり方」つまり「勝ち方」を言葉にしたものです。
ビジョンや戦略は3年あるいは5年といった区切られた期間で定めることが多く、社内外の環境によって「変えるべきもの」です。変えなければ環境に適応できず企業は衰退していきます。
多くの経営者がダーウィンの進化論を引いて説明するように「変化に適応したもの」が生き残るのです。

ミッションとバリューは「変えてはならないもの」

ミッションの語源はラテン語の「mittere(遣わす)」。遠方の地へ行き、果たすべき役割のこと、神から授かった「使命」のことです。
自社を定義する「われわれの事業は何か、何になるか、何であるべきか」という問いに答えることが、自社のミッションを知ることになるとP. F.ドラッカーは言っています。

バリューとは「企業が社会に提供したいと考える価値」つまり、相手にどのようなベネフィット(benefit 利益・恩恵)をもたらすのかを言葉にしたものです。

立ち位置の違いはありますが、ミッションとバリューの本質は同じもので、それは期間の区切りは設けず、基本的な価値観として長い時間をかけて組織に根付いていく「変えてはならないもの」です。

もしミッションが毎年のように変更されている場合、それはスローガンの域を脱していない発展途上のものと言えます。過去から現在、そして未来への「一貫性」が必要です。
環境変化の中で朝令暮改は経営者にとって当たり前でしょう。しかし一貫した「芯」がなければ組織への信頼は「言っていることと、やっていることが違う」と失われてしまいます。

次回は、世界のビジョナリー・カンパニーの特徴を紹介します。