同一労働同一賃金に対応した、慶弔休暇など法定外の福利厚生とは

同一労働同一賃金では、基本給や手当など「賃金に関するもの」が対象と思われがちです。しかし、実際には賃金に関するものだけではなく、福利厚生も対象となります。
1. 同一労働同一賃金における「不合理な労働条件の禁止」は福利厚生も含む
パートタイム・有期雇用労働法と同一労働同一賃金ガイドラインのどちらにも、同一労働同一賃金には福利厚生が含まれています。
2. 同一労働同一賃金における慶弔休暇など法定外福利厚生の注意点

福利厚生には、社会保険など法律で定められている法定福利厚生と、企業が独自に定めている法定外福利厚生があります。法定外福利厚生には、福利厚生施設の利用や転勤者用社宅の利用など、企業によってさまざまなものがあります。
中でも、同一労働同一賃金において問題となるのが慶弔休暇です。ここでは、慶弔休暇を中心に、同一労働同一賃金における法定外の福利厚生の注意点を見ていきます。
非正規労働者にも慶弔休暇などを付与すべきか
同一労働同一賃金ガイドラインでは、有期雇用労働者にも通常の労働者と同一の慶弔休暇を付与しなければならないことが明記されています。
では、派遣元から派遣されている派遣労働者の場合は、どうなるのでしょうか。
同一労働同一賃金ガイドラインでは、派遣労働者も正社員と同様に慶弔休暇を付与しなければならないとしています。その際、慶弔休暇の付与は派遣元の事業者が行うことになります。
派遣労働者を使用している派遣先の事業者は、慶弔休暇を付与する際のルールについて、あらかじめ派遣元の事業者と打ち合わせをしておいたほうがよいでしょう。
同一労働同一賃金ガイドラインで通常の労働者と同一の基準で付与しなければならないとされている休暇には、慶弔休暇のほか、健康診断に伴う勤務免除や病気休職などがあります。
非正規労働者に付与した慶弔休暇などを有給にすべきか
慶弔休暇を有給にする法的な義務はありませんが、有給として付与するのが望ましいでしょう。有期雇用労働者の場合は勤務先が、派遣社員の場合は派遣元が有給分を負担することになります。
ただし、同一労働同一賃金ガイドラインでは、「問題にならない例」として、非正規労働者の慶弔休暇について勤務日の振り替えが可能な場合には、有給ではなく勤務日の振り替えという形を取っても問題はないとしています。
例えば、週2日勤務の短時間労働者の場合、慶弔があった際は勤務日の振り替えでの対応を基本とし、振り替えが困難な場合のみ慶弔休暇を付与することが認められます。
3. 法定外福利厚生においても不合理な条件の改善を目指す
パートタイム・有期雇用労働法と同一労働同一賃金ガイドラインのどちらにも、正規雇用労働者と同一労働同一賃金で働く非正規雇用労働者には、慶弔休暇など法定外福利厚生も適用させる必要があることが明示されています。
同一労働同一賃金制度に対応していくために、まずは慶弔休暇など法定外福利厚生が非正規労働者に不合理な労働条件となっていないかどうかを確認し、不合理な労働条件となっているなら改善していく必要があります。