目標設定がうまくいかない原因と処方箋とは? 後編
さて、前編では「何を目標として設定すればよいかわからない」という点について書かせていただきました。後編は「目標が達成に向かわない」と「目標は達成できているが成長している実感がない/評価されない」という2点についてまとめています。
目標が達成に向かわない
決して活躍していないわけではないのに、目標の進捗だけみるとうまくいっていないように見えるー。原因としては2つ考えられます。
目標達成条件の大半が外部要因
業務と乖離している
たとえばエンジニアが部署の売り上げ目標をそのまま自分の目標にしてしまう。エンジニアリングは、プロダクトにおいて重要なファクターです。しかし、売り上げに対してダイレクトに作用しないこともあり、エンジニアリングの効果が必ずしもその目標に寄与するとは限りません。
この場合は「こういった開発を行えば売り上げに寄与するだろう」という仮説、Key Performance Indicator(KPI)を設定するとよいでしょう。新機能の数、レスポンスタイムなどコントロール可能なものを指標とします。
ただ、気を付けなければいけないのはKPIというのはあくまで「これを達成すればゴールに向かうよね」という仮説でしかない、ということです。なのでKPIが達成された際に、狙い通りゴールに向かっているのかという点は点検が必要です。
業務との乖離については、目標設定当初から時間が経過した際に発生しやすい現象です。目標設定時とは状況が大幅に変わり自身の役割が変わっていたりすると、こういったズレが起こります。また、目標が本人ではなく上長からトップダウンで振ってくる場合もこのケースに陥りがちです。上長が想像するメンバーの活動と実際の活動にはズレがあるからです。
これは定期的に目標を見直すことで解消していきます。ときどき「一度立てた目標は変えられない」と思っている人がいますが、組織として向かう先が変わっているなら、あなたの向かう先も変えなければいけません。
ここで気を付けなければいけないのが、本当に業務と乖離していることが原因なのか?という点です。目標に向かって進捗できていないから目標自体を変えよう、と短絡的に動いてしまう前に、なぜ進捗できていないかを今一度確認しましょう。そこにはスキル不足など手厳しい現実の理由が横たわっているはずです。
目標は達成できているが成長している実感がない/評価されない
ある意味、一番つらいのがこれ。目標は達成しているのにいまひとつ成長が実感できなかったり、評価されなかったりするわけです。徒労感にさいなまれてしまいますね。この状況に陥る原因はいくつかあります。
・目標達成条件の大半が外部要因で、それがたまたまうまくいった
・自分の能力では楽勝なもの
・評価側の期待とズレたもの
「目標が達成にむかわない」と同じく、達成条件の大半が外部要因に帰依する場合。達成するもしないも外部というのは博打と変わりませんね。目標設定は自分にとってコントローラブルな領域で行うべきでしょう。
自分の能力では楽勝なもの。ちょっとかっこいい感じですが、楽勝なもの、達成が容易に想像できるものばかりを目標にしてしまうとどうなるでしょう。短期的には成果が出るため評価もされるでしょう。しかし数か月後、数年後は?ジリ貧にならないためにも、ストレッチな目標設定が望ましいです。
そして「評価側の期待とズレた」とき。この状況になってしまうと、目標を達成したあなたは「なんで目標を達成したのに評価してくれないんだ」という不信感をもってしまうことになります。一方、評価側は「やってほしいことはそれじゃないんだけどなぁ…」と、こちらも不信感をもってしまいます。こういったズレをなくすのがMBOやOKRなのですが、これらの仕組みを導入していてもズレはおきます。もう少し細かく書くと、「対話がない状態であれば」、仕組みを導入していてもズレはおきます。評価側の期待自体、時々刻々と変わっていくので、随時対話しながらキャッチアップしていきましょう。
自分でハンドルを握る。向かうゴールはともに定める
目標設定がうまくいかないのには、様々な原因があります。でも、結局のところ重要なポイントはふたつ。
・自分でコントロールできるものを設定する
・対話しながらゴールを定め、適宜修正する
この二つの本質をおさえておけば、目標設定は怖くありません。
効果的に目標設定を行うことは、成果を出す面でも、そしてあなた自身が成長するという面でも非常に有用な活動です。もし今、苦手意識をもっていたとしても、ここで紹介した処方箋を試し、効果的な目標設定を目指してみてください。