コラム / ブログ
COLUMN & BLOG

2021.06.23

心理学者が明かす、心の真実③ ~私たちの特性と伝える相手の特性~

私たちは相手に物事を伝えたり、依頼したりするとき、普段そこまで言葉を意識していません。意識している人も、相手が嫌な気分がしないように気を付けるくらいだと思います。そして、その「嫌な気分」も、私たち自身が「嫌だろうな」と考えていることです。また、伝わったかどうかの確認をしている人も珍しいと思います。大丈夫?伝わった?など確認することなく、私たちが、伝わるであろうというカタチでの会話が多いです。

つまり、「私たちが言いたいように物事を話し、相手の反応を私たちが思った通りに解釈し、判断する」これが現状の伝え方です。

再構築の観点から見ると、まずは私たち自身の伝え方、感じ方を構成する要素が何かということを知る必要があります。そこからが本当の出発です。

 

伝わるカタチは自分の感じ方を知るところから

教育で最も必要な能力は伝えるチカラではなく、私たち自身のことをきちんと知り、認め、受け入れる能力となります。なぜならば、どのような相手であっても、私たち捉え方が基準となって人を見るためです。その基準を知らないと、常に先入観を持ったまま相手を判断してしまうので、正しく判断できないからです。

つまり、私たちの特性を知ることは思い込みという先入観(バイアス)をなくし、解釈を歪曲せずに、事実として受け止めるために必須能力です。そこから、普段使っている言葉や日常行動、を意識することで初めて相手に本当の変化を促すことができます。

参考文献:「選択と決定、先入観に基づく観察と評価

 

万能な伝え方は本来存在しない。

さらに重要なことは万人に伝えることができる便利な伝え方はないということです。一見良しとされていない具体性がない伝え方が良い人もいます。

例えば、「なんとなくこうやって、ここをぽちっとして、パッとやったらできるから」という説明が一番伝わる形のタイプの人もいます。一般的には良くない方法と言われていますが、それでも完璧にこなす人もいるのです。

一方で手順を一から説明しないと伝わらないという人もいます。さらには、いくら言っても、見せても、やらせてもダメと言う人もいます。そのような人は「人」媒体の伝え方ではなく「紙媒体(PC媒体)で書いてある文書を見せた方が伝わる場合もあります。人はそれぞれ特性がありますから、そこに優劣はなく違いがあるだけです。まずは私たち自身の特性を知るところから始まるのです。

そして、特性が分かると、伝え方の癖がわかるようになります。そこから、相手の特性も探し出し、伝わりやすい言語を探すようになります。世間一般的には、結論から話すPREP法が良かったり、SDS法が良かったりと、様々な話し方スキルがあります。しかし、全員がその伝え方が一番伝わりやすいかということは本来ありません。食べ物で例えるなら、トマトが身体に良いからといって、トマトアレルギーの方にトマトを勧めるようなものです。コミュニケーションでは、トマトが身体に良いから、という理由だけで、相手に合わないノウハウで話し続けているようなものです。

文責:礒村 博之(心理カウンセラー)

礒村博之プロフィール:合同会社こころと言葉 代表

子どもに誇れる生き方を理念として虐待問題、里親支援活動に携わる。 心理学の知識を日常生活に活用して、クライアントの望む生活を聞き出しサポートをしている。 また、アメリカ、インドにもクライアントを抱え、東洋と西洋を混ぜたカウンセリングで様々な心の問題を治療している。

関連記事

関連記事はありません。