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2020.08.11 COLUMN

育たないから任せられない!?権限委譲を上手に進めるコツとは?

Q 権限委譲を上手に進めるコツとは?
A 育たないから任せられないのではない。任せないから育たないのだ。

ポイントは「発想の転換」です。

組織化を志す経営者の多くは、
「こんな仕事まで俺が首を突っ込まなきゃいけいないのか・・・」
そう思いながらも自分自身が一番忙しく働いていらっしゃいます。

しかし、外部環境の変化が激しい世の中です。
自分がいつまでも現場の作業に追われているわけにはいきません。

・人口減少&少子高齢化
→この先40年で人口推計では30%減少すると言われています。
単純に考えれば日本国内のマーケットは30%も減少します。
さらに若者の数が少ないので、労働力も確実に不足します。

・働き方改革
→「ブラック企業」という言葉が流行っているように、
気合いと根性、つまり労働時間で売上を上げる時代ではなくなっています。
労働力が不足していく日本で、高齢者や女性でも無理なく働ける環境づくり。
ここに対応していかなければなりません。

・増税
→上記に付随して、国を運営していくお金が必要です。
だから税金がどんどん増えていきます。

つまり、単純に今のままの仕事をしていると
仕事量が減る可能性が高く、経費は確実に増えてきます。

こうした変化に対応していくためには、
経営者が時流を読み、対策を打っていく必要があります。
一言でいうと経営者が本来の経営者の役割を果たす必要がある」ということです。

権限委譲はなぜ必要か?

上記の理由から、経営者はいつまでも現場の作業に追われていては事業に対して良い影響はありません。
現場作業は従業員に任せ、自分は「経営」をする必要があります。
そのためには経営者自身が行っている仕事を社員に任せていく必要があります。

しかし、これが難しいのです。

そもそも簡単に任せられるのであれば、とっくに任せています。
多くの経営者も少しずつ従業員に仕事を任せようとしたことがあるはずです。

権限委譲が上手くいかない理由

自分が今までやってきた仕事を従業員に任せると、ほぼ100%こう思います。

「頼りない・・・」
「本当に大丈夫だろうか?」
「俺がやった方が効率的だし、上手くいく!」

それはそうだと思います。

そもそも経営者は能力が高いから経営者を続けていらっしゃいます。
何よりそれだけの責任を負って仕事をしているわけです。

そして多くの場合、

「そうじゃない!もっとこうしろ!」
「任せたからには絶対コミットしろよ!」
「あぁ、俺がやったらもっと上手くいったのに・・・」

みたいなことを従業員に言ってしまいます。
さぁ、そのとき仕事を任せられた従業員は何を思うでしょうか?

「はい、わかりました。申し訳ございません。」と口では言います。

(うっせーな。だったら自分でやればいいじゃん!)
(自分が楽するようになってから、現場をわかっちゃいない!)
(社長に怒られないように、言われたことだけやっておこう)
というのが本音ではないでしょうか。

すると余計に動きが悪くなります。
見るに見かねた経営者の決断は「やっぱり俺がやる!」になっていきます。

ポイントは「発想の転換」

上記のように多くの企業では権限委譲は任せたようで任せていません。
結局は自分のコントロールの範囲においてしまうので、
従業員からしても本当に仕事を任されたという責任感が湧きません。

ポイントは、「育ったから仕事を任せる」ということはほとんどありません。
「仕事を任せていくから人は育つ」ということです。

もちろん、任せたら任せっきりなのは「権限委譲」ではなく「放任」です。

仕事を任せたあと重要なことは指示や管理ではなく、「相談」や「応援」です。
指示や管理をされている間は、責任感は芽生えづらいです。
本当に必要なのは困ったときに相談できること、助けてもらえることです。

「任せた仕事、調子はどうだ?何か困ってることあるか?」
「俺に何か助けられることはあるか?」

主体はあくまで従業員です。
経営者はその応援団だと思った方がいいでしょう!

そしてもう一つ大事なことが、
経営者ご自身が次に自分がやるべき経営に忙しくなることです。

仕事を任せて時間ができると、ついつい社員の動きが気になります。
多くの場合、経営者からすると物足りないことが多いんです。
するとどうしても「あら探し」のようになってしまいます。
これは従業員からすると本当にやりづらいです。

それよりも経営者ご自身が次の仕事に忙しくなることです。
すると仕事を任せざるを得ないですし、むしろやってくれてることに感謝の気持ちが湧いてきます。
従業員からしても

「社長も忙しくしているし、俺が頑張らなきゃ!」となるわけです。
もちろん、権限委譲には忍耐が求められます。

こんな時だからこそ「発想の転換」をされてみてはいかがでしょうか。