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2019.08.26

「RJP」でミスマッチを防ぐ

古今東西、採用担当者の頭を悩ませるのが、いわゆるミスマッチです。学生優位の「売り手市場」であるがゆえに、こういうことは、以前よりも増えているのかもしれません。採用したのはいいけれど「合わなかった」ということで離職ということになってしまっては、応募者、企業側双方にとって大きな損失になってしまいます。

そこで、採用手法として注目されているが「RJP」という理論です。

「RJP」とは、Realistic Job Previewの頭文字を取ったもので、和訳すると、現実的な仕事[職務]情報の事前開示となります。つまり、組織や仕事について、良い面・悪い面も含めて現実的な情報に徹した情報をさらけ出すことによって、ミスマッチを防ぐということです。

高止まりの離職率

中小企業庁が、野村総合研究所に委託して行った調査によると、中小・小規模企業で、新卒で入社した人が3年以内に離職する割合は4割を超えているようです。中でも、小規模企業者に限ってみてみれば、5割を超えています。

採用難の中、せっかく採用してもこのような結果になってしまっては、応募者、企業側双方にとっても不幸せなことになってしまいます。

では、そのような事態を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか?その手法のひとつが「RJP」理論です。

予め「入社して大変なこと」を伝えておく

なぜミスマッチが起きるのでしょうか。それは、会社説明会やインターンシップなどで聞く情報と実際の情報にギャップが、学生の想像以上にありすぎるからではないでしょうか。聞いて極楽見て地獄といった感じなのでしょうか。「こんなはずではないのでは」という声を、毎年あちらこちらで耳にいたします。

たしかに、短所を伝える家電製品や車のカタログがないのと同じで、わざわざ自社の短所についてお知らせする企業は少ないでしょう。

しかしながら、美しいバラにはトゲがあるとはよく言ったもので、実際のところはそうそういいことばかりではありません。いいことばかりを書いている就職ナビサイトの情報を、学生たちは決して鵜呑みにはしないのです。大手も中小でもどの会社にも、弱点や業務上で体験する大変なことはありますので、それを予め学生にお伝えしておくと、かえってその会社への信頼が増していくことでしょう。

採用支援と企業のブランディングを手掛ける、プレシャスパートナーズの高崎誠司社長は、次のように述べています。

「説明会から面接、内定後の研修まで一貫して『入社後に味わうつらさ』を伝え続けたんです。これも一種のRJPですね」(2019年7月22日付AERA dot.より)

かなり勇気のいることだと思いますが、こうしたマイナス情報をさらけ出すことによって、かえって長く定着して働いてくれる人材を見いだせることが可能になるかもしれません。清濁併せ呑むではありませんが、そういった企業の良い面や業務上で大変な面を知ったうえで入社してもらうのともらわないのとでは、後々の定着率に変化が現れるのではないでしょうか。

人材獲得難の昨今は、自社の採用試験を受けてくれる母集団をいかに形成していくかということも大事ですが、それよりも、長く定着して働いてくれる人材を見つけ出すということも大切なのではないでしょうか。今回ご紹介した「RJP」という手法が、より精度の高い採用に、一役買ってくれるかもしれません。

今週もお読みいただきありがとうございました。また来週、お目にかかりましょう。

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