コラム / ブログ
COLUMN & BLOG

2018.09.03 COLUMN

成果を出してくれそうな人材を採用するコンピテンシー採用面接のススメ

9月になりました。「〇〇の秋」と言われて久しいですが、まったく秋を感じることなく、私の自宅近くの裏山では、セミたちが今シーズン最後の輪唱を続けています。まだまだ寝苦しい夜が続きそうですので、就寝中の熱中症にはくれぐれもご用心ですね。

さて、そろそろ2020年卒向け新卒採用の計画をはじめるという企業も多いのではないかと思います。やはり、どの企業も「成果を出してくれそうな能力を持った人材がほしい」という共通認識を持っているようです。

でも、いざ面接で、成果を出してくれそうな人物であるかどうかを見極めるとなると意外と難しく、ややもすれば「なんとなく活躍してくれるのでは」という淡い期待を持って雰囲気で採用してしまい、その結果ミスマッチが起きてしまう…。お互いにとって大変残念な結果になってしまうこともあるようです。

今回は、そのようなミスマッチを防ぎ、成果を出してくれそうな人物の採用を可能にするコンピテンシー採用面接について、解説していきます。

コンピテンシー=高業績者の行動特性

コンピテンシーとは、高い成果を発揮する人物(高業績者)が持ち合わせている能力のことで、行動特性、とりがちな行動ともいいます。これを採用面接の現場にあてはめて考えますと、面接選考で、高業績者と同じような能力を発揮してくれるかどうかを見極めるということになります。

このコンピテンシー採用面接は、90年代後半から注目されはじめ、日本でも2000年代前半に大手損害保険会社や外資系企業などで導入が進みました。現在、日本の大手企業の多くで、導入が進んでいます。

では、コンピテンシー採用面接は、今までの面接と何がちがうのでしょうか。まずは、以下の表をご覧ください。

 《一般的な面接とコンピテンシー採用面接とのちがい》

一流大学の学生=成果を生み出す、とは必ずしも言えない

これまでの面接では、優秀=一流・有名大学の学生という図式が一般的でした。もちろん、一流・有名大学の学生、かつ成果を出す行動特性を持っているということであれば、全く問題ありません。

しかしながら、一流・有名大学の学生を採用したところ、成果を出す行動特性を持ち合わせておらず「頭はいいんだけど、自ら何も成果を出せていない。こんなはずではないのでは?」と、採用担当者が頭を抱えてしまう例は、ままあります。私が以前勤務していた企業の総務部長(人事部門も束ねています)も、同じことを述べていました。

その理由は、貴社にとって一流・有名大学というのが必要条件にはなっても、成果を出すための十分条件にはなりえないからです。つまり、「一流大学の学生」であること=「成果を出す行動特性」は、分けて考える必要がある、ということです。

だからこそ、大学群を問わず、実際に成果を出す能力を持った人物を採用することが、貴社の成長にとって大事なのではないでしょうか。

ここからは、面接選考において、どのようにしてそうした人物かどうかを見極めていくのか、そのマニュアル化された「STAR手法」について見ていくことにいたしましょう。

「STAR手法」で、成果を出せる人物であるかどうかがわかる

なかなか耳なじみのない言葉だと思いますが、「STAR手法」というのは、以下4つの単語の頭文字のことです。以下の流れをご覧ください。

この流れに沿って、学生の過去の経験を掘り下げていくことで、応募学生の行動特性や能力の再現可能性を見極めることが可能になります。ちょっと紙上でやってみることにいたしましょう。

面接官:あなたが学生時代にがんばったことについて教えてください

学生:私が学生時代にがんばったことは、学園祭のステージ実行委員会での経験です

面接官:それは、いつのことですか?

学生:大学3年生のときです

面接官:あなたはその実行委員会の中で、どのような役割をしていたのですか?

学生:私は実行委員長をしておりました

面接官:メンバー何人中の実行委員長なのですか?

学生:30名中です

面接官:その30名のメンバーを率いる中で、困難だったことがあれば教えてください。また、その困難をどのように乗り越えたかについても教えてください

学生:困難だったことは…〇〇です

面接官:それをどのように乗り越えたのでしょうか?

学生:具体的に、以下3つの行動を取りました。第一に…、第二に…、第三に…

面接官:で、結果はどうなりました?

学生:無事成功しました

面接官:この経験から、あなたが学んだこと、もしくは得たものはなんですか?

学生:この経験から〇〇ということを学びました

このような感じで進めていきます。この流れに沿って、応募学生の過去の経験=実際に取った行動について時間をかけて聴く(情報収集する)ことで、貴社において成果を出せる人物であるかどうかが、随分判断しやすくなるのではないでしょうか。流れがマニュアル化されており、誰が面接官になっても、面接の評定が安定すると思います。

面接選考は、貴社にとって「目の前の学生が成果を出せるかどうか」の情報収集を行うところです。限られた時間の中で、効率よく情報収集するためのひとつの方法として、参考にしていただければ幸いです。

実はコンピテンシー採用面接、受けた学生の満足度が高いようなのです。

コンピテンシー採用面接は、学生の満足度が高い

ここで、福岡では誰もが知る地場大手企業の面接を受けた、弊社運営の「就勝ゼミナール」の学生から、こんな話を聞きましたので、ご紹介します。

「私は地場大手企業の選考を受けて、最終選考に進みました。どちらかといえば第一志望ではなかったのですが、面接官の方が私の経験をじっくり聞いてくださいました。おそらく学歴では、他の大学の学生に確実に負けていたかもしれませんが、人物重視で、経験で見てくださっていたように感じました。残念ながらその企業とはご縁がなかったのですが、私の中では面接の満足度が高かったです」(西南学院大学・デベロッパー系企業内定)

まずは、学生の話をしっかり聞いてあげる。そんな姿勢が大事なのかもしれません。

次回は、学生の本質を見抜く履修履歴面接について見ていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。