成功恐怖論が人材育成のハードルになっているのかも
誰もが成功を望んでいるが、本当は成功を恐れている?
あなたに夢はありますか?成功したいですか?夢が明確に描けなくとも、何となく成功をして、今とは違う生活をしてみたいという憧れを持つ人は多いのではないでしょうか。
しかし、ここに大きな無意識の罠があることをご存知でしょうか。その罠の名前は、、、
成功恐怖理論です。
人の育成や将来を考えた時、多くの人が知らない事実。これが「成功恐怖理論」と呼ばれるもので、「人は成功を恐れる」という事実です。この事実を知らずに、相手の成功を求める、あるいは成功を求めるような声掛けをすると、無意識的に恐怖を感じてしまい、逆に成功から、遠ざかっていきます。
行動をしているように見えて、実は現状とあまり変わらなかったり、運よくチャレンジしても、失敗が続いたりという結果になります。無意識下で、成功を恐れているので当然です。
この「成功恐怖理論」という考えは1986年にアメリカの女性心理学者、ホーナーが提唱している理論です。
好意からやってしまいがちなミス
企業内で、私たちが人を教育、あるいは指導する時、「何とか成功して欲しい」「どうすれば自信を持ってもらえるか」という意識から入ることが多いと思います。つまり、育成側は大体において、相手に良くなって欲しいと思っている訳です。そして、その中で、広まった考え方の1つに「小さな成功体験を積み重ねることが重要である」という考え方があります。
しかし、当の本人が成功する気が無い、あるいは成功に対して恐れを抱えている状態であれば、どのような声掛けもむなしく響くだけになってしまいます。
誤解が無いようにお伝えすると「小さな成功体験を積み重ねること」自体は良い方法です。しかし、問題は「成功することが恐怖になっている」という前提が抜けている点です。
さらに、世界的に見ても、日本はこの「成功恐怖理論」が強く表れやすい文化だと考えています。
文責:礒村 博之(心理カウンセラー)
礒村博之プロフィール:合同会社こころと言葉 代表
子どもに誇れる生き方を理念として虐待問題、里親支援活動に携わる。 心理学の知識を日常生活に活用して、クライアントの望む生活を聞き出しサポートをしている。 また、アメリカ、インドにもクライアントを抱え、東洋と西洋を混ぜたカウンセリングで様々な心の問題を治療している。